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ヒュアデスの銀狼
SS6  悪い子(魔女)は、オオカミのお腹の中
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る中、カズがヌウッと姿を現わした。
「まさか、あれが…!? オオカミの魔獣!?」
 大きな銀色のオオカミの姿、しかし大きなヤギの角と、背中の鳥の翼。
「魔獣だぁぁぁぁ!? 邪魔しやがって、ころ…っ、ぐがあああああ!?」
 カズは、噛みついていたユウリ(あいり)の腕をかみ砕き、噛み千切った。
 ぼう然としていたかずみの顔に、ユウリ(あいり)の血が降りかかる。
「ぶち殺す!!」
 ユウリ(あいり)が残されたもう片手に銃を握り、乱射した。
 パスパスっと、カズの体に命中する。だが微動だにしないし、傷つきもしない。それを見たユウリ(あいり)は、目を見開き顔を青くした。
 その直後、カズの前足の爪がユウリ(あいり)の胸から腹にかけて、斜めに切り裂いた。
「あああああああああああ!! な…んで? なんでだあああああああ!?」
「逃げてユウリ!」
「なっ。」
 その時、拘束から逃れたかずみがユウリの前に立った。
「かずみ、逃げろ! そいつは…。」

『かずみ、そこをどけ。』

「えっ!?」
「喋った!?」
「…まずい。」
 ニコが無表情な顔で言った。
「ユウリのソウルジェムが、孵る。」
「うがああああああああああああああああああああああああああああ!?」
 臓物を振り乱し、血を撒き散らしながら、ユウリ(あいり)が頭を抱えた。
 直後、彼女の体からソウルジェムが離れ、落ちた。
 それは、あっという間にグリーフシードに変わった。
 そして、凄まじい光が天へ向かって伸びた。
 カズは、黙って見ていた。
 そして、景色が変わり、十字架の磔にかずみ達が張り付けられて拘束された。
「なんで? どうして? なんでソウルジェムから、魔女が!?」
 かずみが目の前にいる、ハートのような姿をし、プチプチと鳴く魔女を見て驚愕していた。
「ねえ、どうしてなの!? うっ!?」
 仲間達に問いかけようとしたとき、茨のような影が伸びて、彼女らの体に絡みついた。
 そして流れ込んでくるのは、ユウリとなった、あいりの記憶。
 それは、あいりがかつて不治の病に冒されたが、ユウリが密かに魔法少女となる代わりに病を完治させたことを知らず、そしてユウリが魔女へと変じてしまった姿だと知らずにその魔女を倒したプレイアデス聖団にお礼を言ってしまったことを、その跡間もなく知って悔い、そして彼女らに復讐するため自分自身をユウリにしてくれという願いによって魔法少女へとなったということだった。
 だが、カズには、そんなことはどうでもよかった。
 あいりがプレイアデス聖団に恨みを持つのは別にいい。
 すべては、カンナのために。
 カズは、あいりの記憶に苦しむかずみをチラリと見た。
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