暁 〜小説投稿サイト〜
ロックマンX〜Vermilion Warrior〜
第112話:Awakening
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飛んでいく。

「ルイン!!必ず!必ず戻ってくるんだ!!ルイーーーーン!!!」

悲痛なエックスの絶叫もシャトルの轟音で掻き消されてしまう。

シャトルを操縦するルインの目の前には既にユーラシアが近くにある。

「(まだ…まだだよ…OXアーマーに換装するのはまだ早い…!!)」

シャトルの航路をユーラシアの中心部へと向け一気に加速させる。

ルインにはシグナス以上の確信があった。

OXアーマーさえ纏えば例えシャトルに搭乗したままユーラシアに突っ込んだ所で自分が死ぬことはまずない。

何せ真っ二つにされようが、頭を吹っ飛ばされようとシグマウィルスで再構成出来たのだから。

だからルインは最初から脱出など全く考えていない。

確実にシャトルをユーラシアにぶつけるにはパイロットが最後まで搭乗していた方が途中で脱出するよりもずっと成功率が高い。

そしてシグナスの作戦通りに進めてもコロニーの地上への直撃だけは何とか避けられるだろうが、コロニー内部のシグマウィルスによる二次被害は避けられない。

だから激突の直前にOXアーマーに換装し、全てのシグマウィルスを吸収し、力を増大させて地球のウィルスも吸収してしまうというのがルインの作戦だ。

代わりに自分のイレギュラー化は確実に避けられないだろうが。

「(あれがあれば死なないって分かってるんだけどやっぱり…怖いなあ…)」

迫るコロニーへの恐怖とイレギュラー化する恐怖も相俟って操縦桿を握る手が震える。

その時である。

『コロニーは目の前だわ…。ルイン、頑張って!!』

エイリア。

『今度こそ大丈夫だ…絶対に!!』

ダグラス。

『彼女ならやってくれるはずだ!!』

ゲイト。

『ルイン!!』

エックス。

『早く終わらせて戻ってこい!!』

ゼロ。

『頑張ってルイン!!』

アイリス。

『少しでも気を抜くんじゃねえぞ!!』

ルナ。

『頼むぞルイン!!』

シグナス。

仲間の声を聞いた瞬間、ルインの恐怖が和らいだような感じがした。

「みんな…スペースコロニー・ユーラシアを確認。聞いていた通り、コロニーからの破片が凄まじいね…これを出来るだけ避けて近づかないと…コロニーにぶつかる前にシャトルが破壊されちゃう。」

『ルイン!お前の腕前なら大丈夫だ!!』

「ありがとう、ダグラス…そろそろお話の時間は終わりのようだね…5秒後に通信OFFにします…(ごめんねみんな、ユーラシアは私が確実に破壊する。だから…みんなには辛いかも知れないけど…ここから先はみんなに任せたよ)」

今頃地上では脱出ポイントを過ぎても脱出しようとしないルインに誰もが恐慌していることだろう。
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