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ロックマンX〜Vermilion Warrior〜
第111話:Relief
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ダイナモを締め上げるルインの涙、そして言葉を見聞きしたゼロの行動は速かった。
踵を返して司令室を出ようとするが、それを見たライフセーバーが叫ぶ。
「待てゼロ!!何処に行くつもりだ!!イレギュラーの貴様がハンターベースを闊歩して良いと本気で…ぐはあっ!!?」
ライフセーバーの顔面にゼロは無言で拳を叩き付け、気絶させて黙らせた。
それを咎める者は誰1人としていない。
「お前のような人の上部しか知ろうとしない奴には分からんだろう。自分を犠牲にしてでも大事な物を守りたいと思う俺達の“誇り”はな」
「ちぇ、俺がぶん殴ろうと思ったんだけどな」
「ゼロ、今回は見逃すが部隊長ならば無意味な暴力は慎むべきだな」
「すまん、シグナス。あいつを助けてくる」
苦笑しながらシグナスに謝罪するゼロだが、助ける方法が何なのかとゲイトが尋ねる。
「随分と自信満々に言うね。何か彼女を救う方法でもあるのかな?」
ゲイトの問いにゼロは不敵に笑った。
先程までの何処か怯えていたような雰囲気はなく、自分達が知るゼロそのものだ。
「さっきライフセーバーも言ってただろう?シグマウィルスを吸収してパワーアップってのはルインだけの専売特許じゃないんだぜ?」
「ゼロ、あなたまさか…」
「あいつがイレギュラー化しそうになってるのはシグマウィルスの過剰吸収のせいだろう。ならばルインの体内のシグマウィルスを俺が吸収する。そうすればあいつの暴走は止まるだろう」
「そ、そんなことをしたらあなたまでイレギュラー化してしまうんじゃ…」
アイリスの言葉に不謹慎ながらゼロは内心で喜んでしまった。
彼女は自分がイレギュラーではないと信じてくれているのだと。
「安心しろアイリス。ルインを見ろ、あいつはあれだけのウィルスを吸収してもまだ自我が残っているんだ。あいつのハンターとしての“誇り”、そしてエックスやお前達への“想い”があいつを存在させている。“心”を強く持てばウィルスなど恐れるに足りん」
自信に満ちた表情にアイリスの不安が和らぐのを感じた。
「随分と曖昧な理由だね。まあいいさ、さっさと行って彼女を助けてくれないかな?」
「ああ…最後に聞いていいかアイリス?」
「何?」
「……君はどうして力を求めたんだ?」
「悔しかったの…エニグマをダイナモに狙われた時、守るどころか逆にルナに守られて…ルナがいなかったら私は確実にダイナモに殺されていた。兄さんの力があればって思っていたんだけど…違った。私自身が強くならなきゃ意味がないって気付いたの。兄さんの力に何時までも甘え続けていたら駄目だって…」
「そうか…では、行ってくる」
「ええ、ゼロ。ルインを助けてあげて!!」
「了
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