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ロックマンX〜Vermilion Warrior〜
第111話:Relief
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バーで刺し殺そうとした時である。
ゼロはルインを羽交い締めにしてダイナモから離す。
「なっ!?」
「な、あんた…?」
「ダイナモとか言ったな。本来なら貴様のようなイレギュラーを助けるなど業腹物だが、お前のためにこいつを失うわけにはいかない。消えろ」
「ゼロ!!本気で言ってるの!?こいつはこの場で破壊しないといけないのが分からないの!?」
「分かっている、こいつはある意味シグマ以上に質が悪いイレギュラーだ。だが、こいつよりも優先しなくてはならないことがあるんだ」
ハンターベースの小型戦闘機に何とか乗り込んで逃げ出したダイナモを横目で見遣ると、暴れているルインを見る。
「放せ!あいつはここで殺してやる!!」
「ぐっ…!!」
凄まじいパワーにゼロは顔を顰める。
エックスからアルティメットアーマーでなければ抑えられなかったと聞いてはいたが、まさかここまでとは思わなかった。
「ルイン…今、正気に戻してやる!!」
ルインの体内のシグマウィルスに意識を向けると、体内のウィルスがゼロに流れ込み始めた。
「うわああああ!!!!」
「ぐあああああ!!!!」
スペースポートにルインとゼロの悲鳴が響き渡る。
ルインは体内のウィルスが強引に奪われていることでの苦痛、ゼロはウィルスを吸収する度に強くなる頭痛、そして内なるイレギュラーが表面化していくごとに感じる自我の崩壊に悲鳴を上げる。
「う…あ…ああ…!!」
苦痛に悶えるルインに対して、ゼロも自身の限界を悟っていた。
「(ぐっ…相当の量を吸収したはずなんだが…まだ正気に戻らんのか…一体どれだけのウィルスを吸収したと言うんだ……今の俺ではこれ以上のウィルスの吸収は無理だ…ならば…)」
ゼロはウィルス吸収による自身の特性を活かして、ペガシオンとの戦いの時に発現したアブソリュートゼロとまではいかなくとも、自身の強化のためにウィルスを利用する。
「(思い出せ、あの力を…あの力は過去に何度か経験し、使っている。体が覚えているはずだ!!)」
ゼロのアーマーの色が紅から漆黒、金髪は銀色に変わっていく。
ライト博士によって何度か解放された潜在能力…ブラックゼロが発動したのである。
「(これならば、やれる!!)」
アブソリュートゼロとまではいかなくとも、このブラックゼロもまたノーマル時とは比較にならないくらいにパワーアップしている。
一気にルインのウィルスを吸収し、スペースポートを紫の輝きで染めたのである。
光が収まった時、ゼロとルインは力なく崩れ落ちた。
「………何とか、正気を保てたか…それでこいつは…」
「…………」
隣のルインは何時もの無防備な表情で眠っていた。
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