外伝〜灰色の騎士と盤上の指し手の覚悟〜 前篇
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気にしながら不安そうな表情で訊ねた。
「…………先程の話にあったエレボニアに巣食う”呪い”―――因果律を狂わせる強制力によって、こちらがどう妨害した所で結局は”黒の史書”通りになってしまう。―――そういう事ですか?」
「ええ。恐らく貴方達がどれ程カーバイドに注意をしていたとしても、因果律を狂わせる強制力を出し抜くことは並大抵のことではありません。」
「はい、その証拠に並行世界の未来の私もアッシュさんが入手したヴェルヌ社製の特殊拳銃を見逃したとの事ですから、恐らく私自身も例え予めアッシュさんが特殊拳銃を手にする所を目撃し、彼から特殊拳銃を取り上げたとしても、何らかの形で彼の手に再び特殊拳銃が渡る事になるでしょうね。」
「そんな…………お父様…………」
「アルフィン…………」
「…………それでも…………それでも、”黒の史書”という本に書かれている事は絶対ではない―――ううん、”絶対に決まった未来は存在しないわ。”黒の史書の内容も私の予知能力と同じであくまで”可能性”を記したものである事は今の話を聞いて、確信できるもの。」
リィンの推測にリアンヌ分校長とミュゼはそれぞれ頷き、その話を聞いて悲痛そうな表情をしているアルフィンをエリゼが辛そうな表情で見つめている中、ゲルドは静かな表情を浮かべて答えた。
「え…………ゲルドさんは今の話を聞いて、何故”黒の史書”に書かれている内容もあくまで”可能性”であることを断言できるのですか?」
「お義父さん達―――メンフィル帝国を始めとした異世界ディル=リフィーナとゼムリア大陸が繋がるという世界にとっての大事が記されていないようだもの。」
「あ…………」
「確かに…………”百日戦役”どころか”獅子戦役”が起こる事すらも記されていながら、それらと比べると遥かに世界にとっての大事であるディル=リフィーナとゼムリア大陸が繋がるという事実は記されていないとの事だからな…………」
アルティナの質問に答えたゲルドの答えを聞いたアルフィンは呆け、リィンは納得した様子で呟いた。
「つまり、”呪い”にとって異世界ディル=リフィーナの存在はまさに想定外ですから、もしかしたらディル=リフィーナの関係者でしたら、”呪い”は介入できない可能性も考えられるという事ですか。」
「そう―――それがレン達にとって”呪い”を出し抜ける”可能性”と言っても過言ではないわ。だから、ユーゲント皇帝への銃撃事件が起こる当日はベルフェゴールお姉さんに姿を消した状態で、ユーゲント皇帝の近くにいてもらって、ユーゲント皇帝への銃撃を可能な限り防いでもらう―――最悪でも、致命傷にはならないようにしてもらう予定になっているわ。」
「ベルフェゴールが
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