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ヒュアデスの銀狼
SS5  オオカミは、神になれるのか?
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 かずみが、本物の魔女と戦った。
 もう一人の魔女もどきとの戦い以降、髪の毛を短くし、再びカオルと海香と共に戦いを挑んでいたが、本物の魔女を相手に失敗していた。
 恐らく、前の魔女もどきとの戦いで魔法を放つタイミングを間違え、二人を攻撃しかけたのが尾を引いているのだろう。
 ……天真爛漫で優しい性格。
 それは、プレイアデス聖団を創立するきっかけを作った、かつてのミチルという魔法少女と同じらしい。

 そもそも、『かずみ』という名は、和紗ミチル(かずさみちる)という名からとって名付けられたものだ。

「いずれは、破綻するのにね。」
 隣にいるカンナが呟いた。
「インキュベーター(キュウべえ)を改造した妖精(ジュウべえ)…、インキュベーターを消すための真実の隠蔽…、魔女の肉と合体魔法による死者蘇生。かずみが知ればどれほど絶望するだろう?」
「あいつらの目的は、ミチルの蘇生だ。」
「そう。アイツらはきっと分かってるようで分かってない。かずみって名前を付けてる時点で。そしてミチルという魔女が生まれて死んだ時点で、すでにミチルはもういない。それを受け入れられず、否定? そのために犠牲になった失敗作達はどうなる? 綺麗事を……。」
 カンナが忌々しいと顔を歪めた。
「カズのことを、“(かず)”にすら入れてない奴らが、かずみを幸せに出来るわけがないんだ。」
「カンナ…。」

 カズという名は、単にかずみから取った名前じゃない。
 プレイアデス聖団が、自分達の仲間にすら、そして存在すら認めず、かずみのクローンの“(かず)”に入れてもらえなかったことも含まれている。

 彼女らは、カズの存在を頭数に入れなかったため、今のかずみは、13人目となっている。
 だが実際のところは、14人目だ。
「まさか、本当にカズのことを記憶から抹消するなんてね。ミチルを蘇生したいばっかりに、あり得たかも知れないミチルの可能性すら否定する。“女”ですらないミチルは、ミチルじゃないってか? ほんと! アイツらは!」
 カンナがバリバリと爪を噛む。
「カンナ。ダメだ。」
「なに!?」
「血が出てる。」
「あ…。」
 爪を噛みすぎて、ついに自分の指まで噛んでいたことにカンナは気がつかなかった。それほどにプレイアデス聖団への憎しみが大きいのだ。
 血が出た指をカズが口に含む。
 そして数秒して口から離すと、傷は完全に癒えていた。
「こら。」
「うっ。」
「よだれでベタベタ。」
 カンナが空いた手でカズのおでこをデコピンした。
「でも、傷を治してくれてありがと。」
「カンナが傷つくのはイヤだ…。」
「そう。優しいわね。私のオオカミさん。」
 オオカミは、
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