世紀末救世主はゲリラくん!
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十日ほど、予て考案していた宝具改造案があった。左目が潰れ、隻眼となった事で感覚が狂い、弓の近・中距離射撃が難しくなった故に考えざるを得なかったのだ。
近接戦闘こそ以前よりも感覚は鋭くなったが、視覚に拠る処の多い射撃となるとそうも言っていられない。中距離戦闘ともなると、近接戦とは感覚が全く異なり、死角からの投擲なり射撃なりに対応できない場合が出てくる。それを何とかする為に、草案を纏めていたのだ。
そして、頭の中で形になったのは。
干将莫耶による近接戦をこなせて、別の宝具を投影し直すまでもなく近・中距離に対処する為のカタチ。それは銃剣である。これが最も今の俺に適した武装であると言えた。
――躰の何処かで、歯車が廻る。ぐるりと楔が裏返った。
「……?」
ふとした眩暈が錯覚のように通り抜ける。
脳裡に鮮明なイメージが浮かび上がった。陰陽一対の夫婦剣が異形と化した黒と白の二挺拳銃。まるで最初からあったような、今の今まで求められていなかったから隠されていたような……。
意識して投影すると、すんなりと異形の機構を備えた干将莫耶が現れる。中華風の双剣が、その特性を残したままに銃身を組み込まれている。
不思議なほど手に馴染んだ。ともすると通常の干将莫耶よりもしっくりと来る。手の中でくるくると廻して、正面に銃口を照準し引き金を引く。連射される銃弾。魔力の籠ったそれ。銃口から迸る発火炎と手に返る反動が心地好く感じられる。
干将と莫耶の柄頭を連結させ、双刀刃のように振るう。連結を解除して莫耶を投げ、宝具の特性で引き寄せたものを掴みながらの射撃。魔力の結合を解いて双剣銃を消した。
「マスター」
たった今感じた違和感の正体を探る。俺に埋め込まれているアラヤ識が、別のカタチに楔を切り替えたように感じたが……。
しかしより細かく詳細を辿る前に沖田が戻ってきた。怜悧な面構えには刀の切っ先じみた鋭さがある。俺は沖田に言った。
「戻ったか」
「はい。敵陣、捉えてきました。ここより南東に距離千、森の中にいます」
「数は」
「千ほどです。しかし確認できたのがそれだけで後二百かそこらはいるかもしれません」
「サーヴァントはいたか?」
「いえ。見たところ雑兵ばかり。サーヴァントの姿は見えませんでした。ただアサシンやそれに類するスキル持ちの場合は私でも見つけられないでしょうから、最低限の警戒は必要かと」
「そうか」
沖田の言うように、アサシンが指揮官の可能性もなくはない。しかしそれはほぼ考えなくてもいいだろう。指揮官が姿を消し軍勢に紛れているなら恐れるまでもなかった。
そして今から俺が執る戦法なら姿を隠しているアサシンに見つかる恐れもほぼないだろう。
俺は思案しなが
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