世紀末救世主はゲリラくん!
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体だろうが実体だろうが、サーヴァントに付随するそれは、常時呪いのように機能しているのだから。
やむをえず士郎は沖田を手招く。首を傾げてすぐ傍に寄ってきた沖田の手を取り、紅い外套を地面に敷くとそこへ横たわらせた。膝に頭を乗させて、微かに眼を見開く沖田に小さく言う。
「楽にしておけ。ゆっくり息を吸って吐くんだ。気休めだが、何もしないよりはましだろう」
「す、すみません……」
「謝るな。お前が死ねば、俺も死ぬ。俺が死ねばお前も死ぬ。一蓮托生だ、お前の命は俺の物で、俺の命もお前の物なんだから。迷惑を掛けたと思う事はない。変に遠慮される方が迷惑だ」
「……はい。あの、マスター」
なんだ、と返す。
「ありがとうございます」
「……」
士郎は無言で頷く。更に時が経つのに耳を澄ませ、微かにケルト戦士らが活気つくのを感じた。
視線を上げると、どうやら明るくなりつつあるのを察知したらしい。何時間が経ったのか。彼らが通りすぎるまで、後どれほどだろう。いや、後少しかもしれない。そう思いいつでも動き出せるように身構える。
しかし――
ペンテシレイアは、渓谷の入口から動かなかった。
「――」
ぞわりと悪寒がする。
何故動かない? 夜は明けたのに。不動のまま動きのない陣容に言い知れぬ不吉を感じる。
渓谷を封鎖したまま奴らは動かなかった。何かを待っているのか? ……待て、『封鎖したまま』だと?
自身の思考に、士郎は怖気が駆け抜ける心地を味わった。まさか捕捉されているのか? いやそれはない。もしそうなら、待たずに攻撃して来るはずだ。だったら何故――そして、答えを知る。
ケルト戦士らと、少数のアマゾネスの女戦士、そしてペンテシレイアが武器を手に立ち上がったのだ。奴らは士郎の方ではなく、その反対側である渓谷の先に向いている。その先から砂塵が上がっているではないか。
敵の増援か? いや違う、そうなら戦闘態勢は執らないだろう。ならあれは、ケルト側にとっての敵で――それはつまり。
現地の、生き残っている人々だった。
「……!」
視力を強化し視認したのは、五百人にも満たない大陸軍の兵士達だ。そして彼らは二百名余りの難民を連れている。
思わず立ち上がりかけた士郎の手を、いつの間にか離れて片膝立ちになっていた沖田が掴んだ。
「ダメです」
「……」
「行けば、死ぬ恐れがあります。マスターが危険を犯すのを、サーヴァントとして見過ごす事は出来ません」
道理だった。見れば難民の向こう側からは、更に別の集団がやって来ている。どう考えても、それはケルトの軍だ。それも元々二千だったペンテシレイア軍の半数。つまり彼らはペンテシレイアにしてやられ、追い立てられ、誘い込まれ、渓谷という逃
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