暁 〜小説投稿サイト〜
人理を守れ、エミヤさん!
世紀末救世主はゲリラくん!
[5/6]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
体だろうが実体だろうが、サーヴァントに付随するそれは、常時呪いのように機能しているのだから。
 やむをえず士郎は沖田を手招く。首を傾げてすぐ傍に寄ってきた沖田の手を取り、紅い外套を地面に敷くとそこへ横たわらせた。膝に頭を乗させて、微かに眼を見開く沖田に小さく言う。

「楽にしておけ。ゆっくり息を吸って吐くんだ。気休めだが、何もしないよりはましだろう」
「す、すみません……」
「謝るな。お前が死ねば、俺も死ぬ。俺が死ねばお前も死ぬ。一蓮托生だ、お前の命は俺の物で、俺の命もお前の物なんだから。迷惑を掛けたと思う事はない。変に遠慮される方が迷惑だ」
「……はい。あの、マスター」

 なんだ、と返す。

「ありがとうございます」
「……」

 士郎は無言で頷く。更に時が経つのに耳を澄ませ、微かにケルト戦士らが活気つくのを感じた。
 視線を上げると、どうやら明るくなりつつあるのを察知したらしい。何時間が経ったのか。彼らが通りすぎるまで、後どれほどだろう。いや、後少しかもしれない。そう思いいつでも動き出せるように身構える。

 しかし――

 ペンテシレイアは、渓谷の入口から動かなかった。

「――」

 ぞわりと悪寒がする。
 何故動かない? 夜は明けたのに。不動のまま動きのない陣容に言い知れぬ不吉を感じる。
 渓谷を封鎖したまま奴らは動かなかった。何かを待っているのか? ……待て、『封鎖したまま』だと?

 自身の思考に、士郎は怖気が駆け抜ける心地を味わった。まさか捕捉されているのか? いやそれはない。もしそうなら、待たずに攻撃して来るはずだ。だったら何故――そして、答えを知る。
 ケルト戦士らと、少数のアマゾネスの女戦士、そしてペンテシレイアが武器を手に立ち上がったのだ。奴らは士郎の方ではなく、その反対側である渓谷の先に向いている。その先から砂塵が上がっているではないか。
 敵の増援か? いや違う、そうなら戦闘態勢は執らないだろう。ならあれは、ケルト側にとっての敵で――それはつまり。

 現地の、生き残っている人々だった。

「……!」

 視力を強化し視認したのは、五百人にも満たない大陸軍の兵士達だ。そして彼らは二百名余りの難民を連れている。
 思わず立ち上がりかけた士郎の手を、いつの間にか離れて片膝立ちになっていた沖田が掴んだ。

「ダメです」
「……」
「行けば、死ぬ恐れがあります。マスターが危険を犯すのを、サーヴァントとして見過ごす事は出来ません」

 道理だった。見れば難民の向こう側からは、更に別の集団がやって来ている。どう考えても、それはケルトの軍だ。それも元々二千だったペンテシレイア軍の半数。つまり彼らはペンテシレイアにしてやられ、追い立てられ、誘い込まれ、渓谷という逃
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ