世紀末救世主はゲリラくん!
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轟く。壊れた幻想だ。今ので何人を餌食としたのか、関心もない。
無数の低位の宝具の剣を砂浜に突き刺しておいたのだが、どれほどが手に取っただろう。戦士には宝の山に見えたはずだ。そしてそれを手にした全ての戦士と、爆破範囲にいた者は余さず爆殺したと判じられるだけである。
「春。躰の調子はどうだ?」
「あ、今度は春って呼ぶんですね。躰は問題ありません。楽な仕事でした」
「ならいい。夜が明けるまで口数は減らすぞ」
「はい」
進路は南東だ。より細かく言うなら五時の方角である。三時間歩くと、不意に士郎は沖田の前に手を伸ばして静止させた。異変だと察した沖田が実体化する。
鼻を鳴らす。東からの風だ。風上から臭いが漂ってくる。これは……汗だ。サーヴァントも実体化していれば汗を掻く。サーヴァントではないケルト戦士も発汗はするだろう。風に乗って漂ってくる臭いの濃さは……相応の数を予想させる。
警戒しつつ進むと、森を抜けた先に拓けた場所があった。こんな所があったのかと士郎は怪訝に思うも、実際にあるのだから仕方がない。
そこには千もの軍勢がいた。そして将がいる。サーヴァント・ペンテシレイアだ。
なぜ奴がここに?
士郎は舌打ちしたくなるが、グッと堪える。
嫌らしいまでに堅実だ。夜には必ず拓けた箇所で、下手に森に入らず、動かずに防備を固めている。森やその周辺での戦いを心得た将だ。流石はアマゾネスの女王である。しかし兵数が半分まで減っているようだが……。
月明かりが遠くまで照らしている。向こう側まで見通せる眼を持つ士郎は顔を盛大に顰めた。
立地が悪い。士郎にとって。小声で沖田に囁きかけた。
「……今夜はここまでだ。ここで、ある程度明るくなるのを待つ」
「敵がこんなに近いのにですか?」
「場所が最悪だ。此処から先は渓谷になっているらしい。こんな地形だった筈はないんだが……その入口を封鎖する形で奴は陣取っている。明るくなれば奴も動くだろう。それをやり過ごして、渓谷を通る。他に道もない」
「分かりました」
風向きが変わる前に、血塗れの戦闘服を消し、装備を改める。戦闘服を一新して、紅い聖骸布をその上に羽織った。そして二挺の双剣銃を投影して地面に突き刺す。士郎はその場にゆっくりと座り込んだ。沖田も倣い、座る。
森から出る事なく、時間が経つ。士郎は時計を無意識に見た。が、カルデアの時間経過を示すだけで、こちら側の時間は表示されない。月明かりが雲に呑まれた為に、後何時間で明るくなるのか判断がつかず、士郎は身動き一つせずに忍耐強く待ち続ける。
そして不意に気づく。沖田の顔色が悪い。眉根を寄せて士郎は訊ねた。霊体化していたら多少はましになるか? と。しかし沖田は無言で首を左右に振った。霊体でいても変わりはない、と。何せ霊
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