世紀末救世主はゲリラくん!
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でよし。眼で視るだけが能ではないのだ。士郎はひっそりと物音もなく動き出す。ターゲットはこちらに背を向け、先程まで士郎らのいた砂浜に向かうケルト戦士らだ。
数は千を超える。しかし明確な指揮官がいないらしく、統率はまともに取られていない。陣形は何もなく、ばらつきながら無秩序に歩いているだけだ。
そして眼前には、軍とも呼べぬ戦士の群れからやや孤立した位置にいる五人がいる。背後から忍び寄るなり、最後尾の一人の口を押さえると同時に投影したナイフで喉を切り裂く。そのままソッと躰を地面に横たわらせ、更に一人、一人と音もなく始末した。
五人とも片付ける。魔力となって虚空に熔けていく戦士の骸――
体力の疲労を解消し、魔術回路も問題なく稼働している。万全の士郎はいつぞやのように、簡単には遅れを取らない。
霊体化したままの沖田がついて来る。今度は正面に十人。士郎がハンドサインを送る。サーヴァントである沖田だ、宝具でも魔術によるものでもない暗闇で視界を塞がれはしない。目視でそのサインを見ると気配を遮断したまま実体化した。
そして刀を構える。士郎が一人、二人と先に始末していく。喉を軽く刃で撫で、五人目で位置が悪くケルト戦士の一人が士郎に気づく。瞬間、沖田が間合いを縮める歩法で跳んだ。
一瞬にして距離を詰め、一刀の下にその戦士を斬り伏せる。その物音で残りの四人が一斉に振り向くも、三人の首を沖田の刀が刎ね飛ばした。そして最後の一人が叫ぼうとしたのを、強化された膂力により弾丸の如く投げ放たれたナイフが阻止した。
最後の一人が死に、地面に倒れる。その額に根本まで突き刺さったナイフを引き抜き、血糊を服で拭う。刃毀れがしていた。士郎は冷淡にナイフを消し、別のナイフを投影する。
七人までなら士郎が無音で殺害していく。しかし敵の位置が悪かったり、七人を超えていた場合は沖田が討ち漏らしを斬殺する。そのルーティンである。
淡々と冷淡に、単純作業の如く只管繰り返す。千人全てにこれをするとなると、キリがないと感じるのが普通だ。だが、キリはある。繰り返せば必ず終わりは来る。心の磨り減るような緊迫感の中、なんでもないように次々と処理し二百余りも暗殺していく。
このままやれば、無秩序な群れなど問題にもせず殲滅してしまえるだろう。しかし士郎はあくまで冷静だった。冷徹だった。沖田を手招くと、その耳元に顔を寄せて囁く。
「――敵の先頭が何処か分かるか」
「もう間もなく森を出るかと」
「潮時だな。退くぞ」
「分かりました」
そうして士郎は暗殺を切り上げる。躊躇いはない、戦果への惜しみもない。
士郎は霊体化させた沖田を連れ、密かにケルト戦士の軍勢から離れる。戦士らが砂浜に出た頃を見計らって、士郎は宝具爆弾を炸裂させた。大規模な爆発が遥か後方から
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