世紀末救世主はゲリラくん!
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ら、黙って傍に控える沖田に向けて言った。
「沖田」
「はい」
「お前の呼び方を考えてみた」
「はい。……はい?」
きょとり、と。素の表情を出す沖田に俺はあくまで真面目に言った。
「仮にも俺の生命線且つ相方であるお前を、『沖田』と呼ぶのは他人行儀過ぎる。かといって『総司』は何か違う気がする」
「違う気がするって、それ私の名前なんですけど……」
「セイバーとアサシンのダブルクラスだからクラスで呼ぶのは外してる感がある。ではどうする。お前はサーヴァントだから諱で呼ぶのは有りなんじゃないか? 『春政』とか。でもそれはそれでおかしい。どう見てもお前、マサって感じしないしな。政治のせの字も知らんと見た」
「サラッと失礼ですね……」
「よってお前の事は『春』と呼ぼう。ハル、いい響きだ。頭の中が常に春一色のお前にはお似合いだ」
「ほんとに失礼ですね!?」
驚愕する沖田だったが、呼び方自体にはあまり拘りはないのか、はたまた女の子っぽい呼び名に拒否感がなかったのか、沖田は「ちぇー」と唇を尖らせるだけだった。
別に春でもいいです。桜が綺麗に咲く季節ですもん。沖田がそう独語したものだから、俺はつい連想してしまった。
――さくら……桜か。
脳裡を過るのは冬木で待つだろう女の事。もう少女とは言えない。懐かしいなと思う反面、何故か背筋を伝う嫌な汗。考えるのはやめておこう。俺は一つ頷き、彼女を促す。敵に嫌がらせをして即座に離脱する気構えを作るのだ。
「行くぞ、沖田」
「――って、結局ハルって呼ばないんじゃないですかー!」
士郎は眼帯を一度外し、髪を掻き上げる。
英霊エミヤを召喚し、髪が白くなり肌が黒ずんで以来、一度も掻き上げる事はなかったが、少し髪が伸びて鬱陶しくなっていたのだ。
髪を撫で付け改めて眼帯を着ける。破損聖杯に魔術回路を接続し、野戦服を投影した。それに泥を塗布し、着込む。同じように外套を投影するとそれも土砂で汚し、簡素な迷彩仕様にしておく。刀を抜いている沖田を一瞥すると、一つ頷き霊体化するや否や俺の後ろについた。
日は完全に沈んでいる。森の中だ。生い茂る草木、空に蓋をする枝葉によって、月明かりすら地上には届かない。完全な暗闇である。
眼球に強化の魔術を叩き込む。
眼に入る光量は殆ど無いが、それで多少ましにはなる。ほぼ何も見えなかったのが、モノのシルエットだけは辛うじて識別出来るようになった。それでも普通は戦闘など不可能だが、士郎には夜間戦闘の心得がある。死徒は夜に力を増し、光のない闇の中でも差し障りのない視界を持っているのだ。それらとの戦闘を行うには、そうした技術の会得は不可欠だった。
ある程度見えるならそれ
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