沖田さんと士郎くん!
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た。釣りの経験はないようだが、元々手持ち無沙汰にさせておくのも悪いからやらせているだけである。期待はしてない。
そうして俺は、投影した壺に仕留めた魚を入れていく。ん、中々悪くないな。かなり大漁だ。魚も多い。というか、人を見ても全然警戒していない。まだ人に採られる事へ学習してないんだろうなと思う。遠慮なく乱獲する。
海面に顔を出す。すると、意外な事に沖田は一匹の魚を釣り上げていた。驚愕する。それはマスノスケ……別名キングサーモンだったのだ。それも俺が仕留めていたどのマスノスケよりもかなりの大物で、沖田は跳び跳ねて喜んでいた。
「おお!? 全然釣れなくてもうダメなんじゃって思ってましたけど、もしかして沖田さん魚釣りの才能がある!? やったぁ! やりましたよマスター! 初の魚釣りで沖田さんまさかまさかの大勝利ぃ! ――こふっ」
跳び跳ねて喜び、両足が地面から離れた瞬間に沖田は唐突に吐血した。着地出来ずに足を滑らせて、そのまま顔を岩礁に叩きつけた。
ちーん、と聞こえて来そうである。釣竿が海に落ちた。とりあえず嘆息して、沖田の許に泳いでいく。
「おい」
「ぅ、うぅ……いたひ……」
ペチペチと頬を叩くと、沖田は目を覚ました。鼻頭と額を真っ赤にして、涙目で沖田は呻く。
「ますたぁ……わたしの、えものは……?」
「竿ごと海に還ったよ」
「そんなぁ……」
それより病弱の破壊力が想像を超えていて、俺が「そんなぁ……」と言いたかった。
霊体化して砂浜に戻れと言い、俺は海から上がる。とりあえず採った魚は処理した後に焼いて食う分と、保存の利く干物にする分を分ける。その準備の為に投影した魔剣で火を熾し篝火とした。
落ち込んだ様子の沖田は、俺の側で「私の魚ぁ……」と嘆いていた。
「……はぁ。おい、これ食え」
「……え?」
マスノスケを木の枝で串刺しにし、丸焼きにしたのを差し出す。すると沖田はきょとんとした。
夕方である。海が夕日に照らされ橙色となっていた。沖田はまじまじと俺と焼き魚を見る。自分が釣った魚と同種のそれが、自分に差し出された事に困惑しているようだった。
「あの、私サーヴァントなんで、食事は必要ないんですが……」
「隣で悄気られてたらこっちまで気が滅入るって話だ。いいから食え」
「はぁ……では、頂きます……」
沖田は俺から串を受け取り、戸惑いながらも口をつけた。
暫く無言で食べる。沖田を横目に見ると、ほくほく顔だった。唇を脂でてらてらさせ、指にも付着させている。もっと綺麗に食べろよと呆れた。まるで子供みたいだと呆れつつ、口許を手拭いで拭いてやった。
「わぷっ、んんん!? ま、マスター! そんな、それぐらい自分でやります!」
「ならやれ」
抵抗してきた
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