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英雄伝説〜灰の軌跡〜 閃V篇
外伝〜混沌の鼓動〜 (4章開始)
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リシラ皇妃は皇城内の庭園である事を話していた。
「ふう、まさかオリヴァルト殿下が祝賀会を欠席されるなんて…………」

「仕方あるまい―――あのような事があったばかりだ。紅き翼が帝都の空を守るならば民もさぞ安らごう。」
溜息を吐いて呟いたプリシラ皇妃にユーゲント三世は慰めの言葉をかけた。
「ええ…………ですが殿下に申し訳なくて。ただでさえセドリックの事で気を悪くされているでしょうし…………」

「フッ、その程度で不快となるオリヴァルトではあるまい。そなたも良く知っているようにな。」

「ふふ、そうですわね…………」
ユーゲント三世の言葉に微笑みを浮かべて答えたプリシラ皇妃は昔のオリヴァルト皇子やアルフィン達の様子を思い浮かべ得た。
「お母様を喪い、皇宮に引き取られたばかりの男の子…………小間使い上がりの継母のことなど邪剣にされてもおかしくないのに…………殿下はわたくしを受け入れアルフィンやセドリックの誕生を心より喜んでくださいました。」

「フフ、それがあれの人徳だろう。エレボニアだけでなく大陸各地に、そして14年前に突如現れ、交流はリベールが主であった異世界にも”友”がいるのも頷ける話だ。」

「ええ、それなのに。それなのに、最近のセドリックはあれほど慕っていた兄君を―――それどころか、自身の双子の姉のアルフィンまで―――…………既にセドリックがアルフィンとも会ったことは聞き及んでおりますが、アルフィンもセドリックの変貌にさぞショックを受けた事でしょうね…………」

「…………かもしれぬな。だが、今のアルフィンには心から信頼できる伴侶や仲間達がいる。アルフィンの事については彼らに任せるべきだろう。今のアルフィンは”アルノール家”ではなく、”シュバルツァー家”の一員なのだからな。」

「…………そうですわね。リィンさん達には”七日戦役”やアルフィンの件も含めて、わたくし達は受けた恩を何一つ返すことができず本当にお世話になってばかりで申し訳ないですわね…………」

「そうだな。それこそ養女に迎えたリーゼロッテもアルフィンのように彼の者の伴侶として差し出しても、私達は返し切れぬ恩を彼を含めたシュバルツァー家から受けているからな…………」

「――両陛下、失礼します。オズボーン閣下が拝謁を賜りたいとの事ですが…………」
プリシラ皇妃の意見にユーゲント三世が静かな表情で同意したその時、衛士が二人に話しかけた。
「わかった、通してくれ。」
そしてその場にエレボニア帝国宰相―――”鉄血宰相”ギリアス・オズボーンが衛士に連れられて現れた!


「お寛ぎのところ失礼いたします。陛下、プリシラ様も。」

「いえ…………お役目、お疲れ様です。それではわたくしは下がらせて頂きますね。」
オズボー
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