第百二十八話
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第百二十八話 夜に飲むもの
夜になった、カーミラは自分自身の時間であるその時が来ると満月の輝きを観つつそのうえで自身の使い魔達に話した。
「血を飲もうと思ったけれど」
「思った、ですか」
「ではですか」
「それではですね」
「今宵もですね」
「いつものものにするわ」
笑顔で言うのだった。
「今宵もね」
「ではワインをお出しします」
「今宵もそれを飲まれて下さい」
「そうされて下さい」
「私はワインを飲んでも生きていけるわ」
血を飲むことと同じだけの栄養を得られる、カーミラはそうした身体の仕組みになっているのだ。この辺りは人間と違うのだ。
「赤でも白でもね」
「そしてロゼでも」
「どのワインでもいいですね」
「思えば可愛らしい女の子の血だけを飲んでいたわ」
かつてのカーミラはそうであった。
「今の日本も可愛らしい女の子が多いけれど」
「それでもですね」
「飲まれるとなれば」
「それはですね」
「ワインになったわ、血も美味しいけれど」
しかしというのだ。
「今はね」
「ワインが美味しい」
「だからですね」
「今はワインを主に飲まれ」
「そしてですね」
「今宵も、ですね」
「そうするわ、血を飲まない吸血鬼」
カーミラはくすりと笑ってこうも言った。
「矛盾するわね」
「ですがワインの赤はです」
使い魔達はカーミラに答えた。
「血を思わせます」
「よく言われますし」
「ならいいのでは」
「ワインを飲まれても」
「そうなるわね、では一本は赤ワインで」
これもいつものことだ、カーミラはワインを飲む時は一本は絶対に赤のボトルを開けている。これも常になっている。
「楽しむわ」
「それでは」
「ディナーと一緒にお出しします」
使い魔達も応えてだった、カーミラはまずは彼女の馳走を楽しんだ。ワインはボトル三本空けたがどれも赤だった。
第百二十八話 完
2019・1・29
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