SS1 カズ
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、オオカミに食べられるんだよ。」
「っ!?」
「さあ、行きなさい。久しぶりの“美味しいご飯”だよ。」
次の瞬間、オオカミが足を前に出し、魔法少女に飛びかかった。
そして、どれくらい時間が経っただろうか。
月が夜空に上がる頃。やがて、建物と建物の間の路地に、渦を巻く黒い穴が開いた。
そこから、薄い色の髪の毛の少女が飛び出しアスファルトの上に着地した。
十数秒ほどおいて、次に飛び出してきたのは、短い黒髪の少年だった。
年頃は、少女と同じぐらいだろうか。肌は白く、赤みのある黒い目をしている。顔立ちだけで見れば、少女と見まごうほど整っている。
その少年が飛び出すと、穴は消えた。
「美味しかった? “カズ”。」
少女からカズと呼ばれた少年は、グシグシと口元を服の袖で乱暴に拭いながら頷いた。
少女が、ハンカチを取り出し、カズに近づいてそのほっぺたを拭いた。
「行儀が悪いね。こんなに汚しちゃって。」
「…ご、めん。」
カズは、しょんぼりとした。
少女のハンカチは、ドス黒い血で汚れた。
「でも、それだけ美味しかったんなら、いいわ。普通の人間ばかりじゃ飽きものね。」
「…オレ…強くなった?」
「うん、一段と強くなったね。すごいよ、カズ。」
少女は、嬉しそうに笑顔を作り、カズの頬を両手で包んだ。
「良い子よ。私のオオカミさん。私のカズ君。」
「…か…んな…。」
「そう。私の名前、カンナ。よーく覚えたね?」
「カン、ナ…、カンナ。」
「そう、カンナ。……アイツの本名だってのが気に入らないけど、今は私が聖カンナなんだ。」
「ちが…う?」
「ううん。カズは気にしないで。それより、次の魔法少女を探さないとね。」
「次…、また…ウマイ?」
「ええ。きっと美味しいよ? それで、いじめていじめて、魔女にしてから食べちゃうの。そうすれば、カズは、もっと強くなれる。」
「オレ…、カンナ、の。」
「そう、私のために強くなって。そして、あなたを捨てた、アイツらを、びっくりさせるほど、つよーいオオカミさんになるの。」
「オレ…かずみ…違う…。すて…られ、た…。」
「そう。あなたは、女の子じゃなくて、男の子として生まれちゃったから、すぐに殺されて捨てられたの。でも、生き残った。カズが生まれ持った能力である、異常な再生能力…、“超再生力”って言えばいいかな? そのおかげで、マルフィカ・ファレス(魔女の肉詰め)である、カズは、魔獣として生まれ変わった。女の子じゃないし、魔女じゃなくて、魔獣って言う方が合ってるよね。」
「オレの…な、まえ…、カンナ…くれた。」
「そう、かずみってアイツらが付けてたから、カズ。かずみちゃんのお兄さ
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