SS1 カズ
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“悪い子のところには、オオカミが来るよ”
“悪い子は、オオカミに食べられちゃうよ”
その歌うような声が聞こえたら、オオカミに食べられる……。
某県にある、あすなろ市に、そんな噂が流れていた。
「ほーら、あなたの後ろに…。」
「やめてよー。」
「あははは、冗談よ、冗談。そんなオオカミが本当にいるわけないじゃない。」
女子中学生達が、そんな会話をしながら、歩いていた。
「それでね、そのオオカミのご主人様がいるって話もあるんだよ?」
「もう、やめてよー、そういう話。」
「なんでも…、可愛い女の子だって。」
「ほんとー? どうせネットで見たガセネタでしょ?」
「書き込みだと、見たり聞いたりした人は、みんな死んじゃってるって話だし。嘘じゃない?」
『悪い子のところには、オオカミが来るよ』
「ちょっとぉ! 私が怖がるからって! また!」
「えっ? 私じゃないよ?」
「私でもないわ。」
『悪い子は、オオカミに食べられちゃうよ』
「………………えっ?」
『グルルルルルル……。』
獣のようなうなり声と共に、少女達の周りの景色が、楽園を思わせる野原と木々の生えた景色に変わった。
「な、なに!?」
「させない!」
その時、現れたのは、カラフルで可愛らしい衣装に、杖を握った魔法少女。
「さあ、逃げて!」
「えっ、えっ!?」
『ガアアアアアアアアア!』
「きゃああああああああああ!?」
そこへ、現れたのは、ゾウのように大きな体を持つ銀色のオオカミ。
だが、ただのオオカミではない。
頭部に山羊のような角があり、背中に鳥のような翼を持つ、異形だった。
オオカミの登場に、一目散に逃げていく少女達。
オオカミが追おうと足を前に出すと、魔法少女が立ち塞がった。
「これが、噂の“オオカミの魔獣”なのね? 確かにオオカミみたい…だけど…。」
魔法少女が杖を突き出した。
「私が倒すわ!」
「それはどうかな?」
「えっ?」
オオカミの魔獣の背中に、フワリッと一人の少女が舞い降りてきた。
薄い色の髪の毛のその少女は、二つに束ねた髪を揺らし、オオカミの魔獣の横に降り立ち、オオカミの魔獣の顔の横を撫でた。
「かかってくれてありがとう。」
「えっ?」
「あの子達は囮。もとより魔法少女である、あなたが狙いだったんだよ?」
「なっ…?」
「この結界は、外に出れば普通の人間は記憶が改ざんされて忘れる。そして、魔法少女を逃がさない檻でもある。あなたは、これからこの子に…
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