純粋なお遊び
合縁奇縁のコンサート 18
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はグッと息を呑んだ。
「なんだかんだ言っても私達が貴方のお母様を救えなかったのは事実。そして、貴方が孤児院を襲おうとミネットに刃を突き付けたのも事実。だからね。貴方に機会と罰を両方あげる」
「機会と、罰?」
「ええ。アリア信仰の修行徒として、貴方をこの孤児院に在籍させます」
「…………は?」
「知識は刃に勝る武器よ。此処でアリア信仰や生活の為の道具等、多くの物事を見て触って吸収し、正しい知識の使い方を学びなさい。本気で学び直した上で、それでもどうしても私達が赦せないと思うのなら……いつでも良いわ。掛かっていらっしゃい」
貴方のお母様を見殺しにしたアリア信仰の代表役として。アヴェルカイン公爵として。
「この私が、全力で、相手をしてあげる」
クァイエットの目の前で差し込み式の小瓶の蓋に噛み付き、抜き取ったプリシラが、にぃっこぉーーりと、それはそれは婀娜っぽい笑顔を浮かべ
「!? っふぐぉふ………………っ!!?」
小瓶の注ぎ口をクァイエットの口に突っ込んで、上向かせた。
「ぐ!? ふぐ、んっ、ぐっ」
唇の端から一滴零れ落ちても、しばらくは無理矢理押し込んだままの状態を保ち。
「………………っぐはっ! が、げほ!」
喉仏が数回上下するのを見届けてから、解放する。
「な、ごほっ! 何だよこれ、甘っ! 口ん中メチャクチャ甘ッ!! 空気まで甘ッ!?」
「私が調合したお薬よ。美味しいでしょ?」
銜えていた蓋を元に戻し、机の上に小瓶を置いたプリシラが、無邪気に声を弾ませる。
「美味いワケあるかッ!? 何のつもりで」
「だから、これが貴方への罰よ。二、三か月の間は、何を食べても飲んでもお砂糖丸呑み並みにあまぁーい味しかしないわ。深呼吸しても水を飲んでも、何をしてても常に甘いのよ! 乙女の憧れね!」
「あほかぁッ!! そんな暴力的な憧れは今直ぐ大陸の果てに行って捨てて来い!」
「嫌よ! 最近王都でも流行りのケーキを知らないの!? ふんわりと柔らかいスポンジに白くて口どけの良い爽やかな甘みのクリームがまるでベールのように飾られた、あの至高の逸品を! それを二、三か月毎日寝ても覚めても味わい続けられる喜び! 貴方には解らないと言うの!? 悲しい人ね、クァイエット君!」
「んなもんはてめえだけで味わっとけー! オレは甘い物が大っ嫌いなんだよッ!!」
「解っててやってるに決まってるじゃない」
「殺す! てめえだけは何が何でも必ずこの手でぶっ殺してやる!!」
「うふふ。楽しみにしてるわ、クァにゃん」
「おかしな呼び方すんじゃねえええええ!」
「だって、クーちゃんだと誰かさん達と被るんだもの。独自性に欠けちゃうじゃない。そんなのつまらないわ!」
「知・る・か・っ!! いつでも良いな
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