純粋なお遊び
合縁奇縁のコンサート 18
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「おくすりなら、みねっと、しってたよ! ぷりしらさま、やっぱりうそついてないよ! ぷりしらさまはわるくない!」
「ちょ、待て! 病気と薬の研究だと!? 貴族が!? んなワケ……っ」
「私の実家であるアヴェルカイン公爵家ってね。王族お抱えの宮廷医師や宮廷薬師を何人も輩出してきた、医療分野特化の家系なのよ。勿論、私自身も医師と薬師の資格を両方所持しているわ。そしてね。同じ国で産まれ育っていても、普段の食事や生活習慣や住環境に違いがあると、患う病気の種類も微妙に異なっていたりするのよ。つまり王侯貴族向けの研究費用なら家の収入で賄えるけど、それ以外に手を出そうとするなら、その分の研究費用は別の場所から持って来る必要があるの。これが、貴方が「横流し」だと思っていた物の正体よ。厳密に言えば次期大司教になるよりもずっと前から続けているのだけど、私は確かに孤児院の運営資金の一部を実家へ流しているわ。その対価として、公爵家の研究技術と成果を各孤児院に提供してる。……だから言ったでしょう?」
私達には貴方のお母様を助ける力が有った。
治療方法も必要な材料も揃っていた。と。
「貴方のお母様が生きていた頃も既に同じ事をしていたのよ。貴方が必要としてくれなかっただけで。」
「そ、そんな……、い、いや! 騙されないぞ! 生活資金の内だとしても、本来の配分を国民に偽って使ってるのは事実っ……」
「ねぇ、勉強をサボってばかりだった「問題児」のクァイエット君。「横流し」の話って、何処で聴いたの? もしかして、中央教会の敷地周辺だったんじゃない? 都民の噂話とか」
「!! ……っだったら、なんだよ!?」
図星だった。
中央教会を出て直ぐの所で孤児院へ出発する直前のプリシラ達一行を取り囲んでいた都民の群れ。彼らの噂話が、クァイエットの情報源になっていたのだ。
そうと判れば当然
「「だったら、みんなもしってるってこと、だよね?」じゃん?」
子供達も突っ込まずにはいられない。
「んな、 ……あっ!!?」
「まぁ……公爵ほどの権力を保持している家が本当に隠蔽していたのであれば、都民の噂の種にはなりようがありませんよね」
今更気付いて目を白黒させるクァイエットに苦笑いを溢すベルヘンス卿。
プリシラは両手で口元を覆いつつ、ぴるぴると肩を震わせている。爆笑寸前だ。時々ぷふっとか、ぴすっとか聴こえる息が抜ける音に、青年の顔が見る見る赤く染まっていく。
「で、でも、詳しい説明はしてなっ」
「お薬等、目に見える結果がちゃんと孤児院内部に在るのです。価値を知る者を招けば立証は可能でしょう。知ろうともしない者には、三分の一という数値だけでも十分なのでは?」
「ふぐっ……」
反論しようとすればするほどドツボに嵌まっていく
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