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ある晴れた日に
157部分:共に生きその七

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共に生きその七

「野本と三人だしな」
「丁度いいわね」
「今度は俺達かよ」
「しかも三下の役かよ」
「嫌だったらいいけれど」
 今度は静華が二人に対して言う。
「そうしたら多分野茂と坂上だけれど」
「それだと道具係とエキストラ兼任だよ」
 竹山はここでも言ってきた。やはりよく知っていた。
「その役じゃなかったらね」
「けれどこの役ってよ」
「出番少ないだろ」
「うん」
 竹山はあっさりとした感じで二人の今の問いに答えた。
「正直に言うとね。実はね」
「まあいいか」
「それでもな」
「はい、これでまた決まり」
「その役はこの二人ね」
 静華と奈々瀬がすぐに千佳に言った。加山が二人の名前を書きまた二人決まったのだった。
「これで終わり?」
「いや、まだあっただろお母さん役がな」
「それどうする?」
 すぐに最後の役についても言われたのだった。
「それはよ」
「最後は誰なんだ」
「それはもう決まりだろ」
 今のは春華の言葉だった。
「お母さんつったらよ」
「ああ、そうだよな」
「確かにな」
 そして皆彼女の今の言葉に対してすぐに頷いた。
「竹林だよな」
「やっぱりね。っていうか」
 皆こんなことを言いながら未晴の席にその視線を集中させてきた。
「それしかないって」
「頼める?」
「私が?」
 未晴は皆のその視線を受けながら彼等に対して言った。
「私がお母さん役なの」
「そうよ。頼める?」
「あんたしかいないから」
 奈々瀬はこうまで言った。
「だからね。ここは」
「是非共」
「是非なの」
 ここまで言われると断れないのが未晴であった。
「そこまで言ってくれるのなら」
「やった、これで配役は決まりだな」
「主だったのはね」
「それで後は」
 だが話はさらに続く。加山が言った。
「皆エキストラと道具係になるね」
「ええ、わかったわ」
「それならな」
「それでいいさ」
 このことはあっさり決まった。話し合いはこれで全部終わった。と思われたがここで。
「あっ、ちょっと待って」
 また竹山が声をあげてきたのである。
「一つだけ決まってないよ」
「一つだけって?」
「もう配役全部決まったんじゃないの?」
「音楽が決まってないよ」
 このことを皆に言うのであった。
「音楽がね。まだ」
「あっ、それもあったわね」
「そういえば」
 皆彼の言葉でふと気付いた。
「そうそう、音楽担当」
「それも忘れちゃいけないわね」
「歌舞伎って音楽も大事だから」
 ここでも原作の歌舞伎を話に出して皆に説明する竹山だった。

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