第7章:神界大戦
第201話「刻限」
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能があると言われていたし、持て余さないように特訓もしてきた。
さらに、その上に御神流の技術を完璧ではないとはいえ上乗せしている。
祈梨さん曰く、神界とも戦える程には強いと言われたけど……。
「(……怖い……)」
飽くまで、それは“戦える”だけ。
“勝てる”とは言われていない。
裏を返せば、以前までは“戦い”にすらならない状態だったと言うこと。
……そんな相手と、私達は戦わなくちゃいけない。
「(強大な敵と戦う……だけならまだマシだった)」
途轍もなく強い敵と戦う。
それでも十分怖いし、負ける訳にもいかない。
でも、今度の戦いは全ての世界の命運に関わってくる。
……私は、そのプレッシャーが怖い。
「……なのは?」
「ぁ……お母さん?」
そんな私に、お母さんが話しかけてきた。
夕食の食器はもう洗い終わったみたい。
「……怖いのね……」
「っ……!うん……」
表情に出しているつもりはなかった。
でも、お母さんにはお見通しだったみたい。
……多分、お父さん達も見抜いていたのかも。
「……大丈夫よ。なのはは強い子なんだから」
「………」
その言葉は、気休めにしかならない。
でも、それでも充分。励ましてくれるだけでも、助けになる。
「守られてばかりなお母さんが言うのもなんだけど……諦めないようにね?」
「……うん」
そう。諦めたらダメ。
諦めない限り、負ける事はないって、祈梨さんも言っていた。
だから、諦めない。諦めちゃダメなんだ。
「諦めない限り、可能性は残っているわ」
「(そう。諦めなければ……)」
お母さんの言葉を自分に言い聞かせるように、心の中で繰り返す。
―――だから、諦めないで。可能性を拓くのよ
「―――ぇ?」
その時、耳を疑った。
そして、振り返って後ろに立ってたお母さんを見上げて、目も疑った。
……さらに同時に、その時の自分の心すら疑った。
「どうしたの?」
「え、あ、ううん、なんでも……」
直後、それが気のせいだったかのように元に戻る。
「(……気のせい……?)」
そう。気のせい。
私は、そう思い込むようにした。
その時聞こえた声と、お母さんの表情。
そのどれもが、お母さんらしからぬモノだった。
……そして、それを見聞きした時。
私がお母さんに対して敵意を持った事が、何よりも信じられなかった。
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