第7章:神界大戦
第201話「刻限」
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きてきて、とこよは異性として好きになった相手はいなかった。
元々式姫ばかり周りにいたため、男性との交流も少なかった。
さらには恋愛事には無縁の人生を送って来たために出会いなんてなかった。
「……神界の戦いが終わったら、私も相手を探してみようかなぁ」
「なんだい?今更色恋沙汰の話かい?」
「わっ、紫陽ちゃん」
ふと呟いたとこよの言葉を拾うように、紫陽が話に混ざってくる。
「そういえば、紫陽ちゃんにはいなかったの?」
「あー、言われるとあたしも……まぁ、いいじゃないか。そういうのは目の前の事が終わってからでもさ」
逃げるように話を逸らす紫陽。
何となく、“行き遅れ”な感じがして気まずくなったからだ。
「……まぁ、そういうの抜きにしても、一度現世は見て回りたいよね」
「まぁ、あたし達は江戸の時からずっと幽世にいたからね。幽世に還ってきた式姫達から、ある程度の話を聞いていたけど、今の時代の現世は確かに見てみたい」
現世に出れるようになった今も、神界との戦いに備えて修行ばかりだった。
そのため、事が終わったら見て回りたいと思うのも無理はなかった。
「そのためにも、勝たないとね」
「……そうだな」
「そうね」
「どの道、負ける訳にはいかないからね」
会話はそこで一旦終わる。
「……じゃあ、明日のために私達も休もうか」
「ええ。……ところで、とこよ達はどこで休むのかしら?」
「さざなみ寮って所だ。鈴の奴がそこなら部屋を貸してくれると言っていた」
まだまだ話す事はあるだろうが、休息するためにとこよ達は解散する。
……何気ない会話の後とは思えない程、覚悟を決めて。
「……すぅ……はぁ……」
「………」
皆が帰路に就き始める中、帝は深呼吸をして気持ちを落ち着けていた。
その傍らには、神夜の姿もあった。
「……やっぱ緊張っつーか……怖いものだな」
「……そうだろうな」
帝は怖がっていた。相手の強さが未知数なために。
それだけじゃない。勝てるかわからない上に、負けてしまえばどうなるかもわからない。……そんな、“未知”にも恐怖を抱いているのだ。
「俺の場合はいつ操られるかもわからない。……その事がとにかく不安だ」
「元からして、なんで俺達みたいな奴がこんな壮大な事を……」
神界での戦いは、自分達だけでなく全ての世界の命運が決まる。
責任重大なんてものではない。そのプレッシャーが二人にはあった。
「やらなければいけない、からだろうな」
「……まぁ、そうなんだけどな」
他に選択肢がない。それだけの理由だ。
そ
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