三十九匹目
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十一月初旬。
月末はクーちゃんの誕生日だ。
王族の誕生日なのでもちろんパーティーが開かれる。
「プレゼントどうしよう」
もちろんシュリッセル家からのプレゼントはお婆様達が用意している。
今悩んでいるのは僕個人からのプレゼントだ。
ブレスレット…はもうあげたからな…。
指輪…却下。
イヤリング…エルフに耳系のアクセサリーって特別な意味があるから却下。
これが単に友人同士のやり取りなら花束とかが一番だ。
なぜなら花言葉という形でメッセージを込められるから。
ん? 花束?
そうだ! “朽ちぬ花束”を贈ればいいじゃないか!
よし、お婆様に頼んで王宮の図書館と植物園に行こう!
十一月下旬。
クーちゃんの誕生日当日。
お父様とお母様に連れられて来たのは王宮の謁見の間だ。
数段高い所に国王様と王妃様。
その一段下にロイヤルファミリーズだ。
なおロイヤルファミリーズの真ん中にクーちゃんが座り、両隣に皇太子アーネスト様と皇太子妃トレーネ様、その更に外側に女性が二人。
そして空席が一つ。
ダマオの席だ。
あの豚は王族の一員だが素行が悪く、数ヶ月前の一件で国王様(っていうかお婆様)がキレたらしい。
で、ダマオは現在軟禁中だとか。
ダマオの話は置いておくとして……。
クーちゃんが滅茶苦茶不機嫌だ。
王族だから表には出していないが目がヤバい。
貴族達の御世辞にうんざりしているのだろう。
公爵家、侯爵家の謁見が終わり、宮廷魔導師団の順が回ってきた。
お母様と一緒にクーちゃんの前に出ていく。
なおお父様は師団長として、お婆様は相談役として出席しているのでそれぞれ別行動だ。
一歩前に出たお母様が定型句と共に贈り物の目録を渡した後。
「我が息子が姫様にどうしても贈り物をしたかったそうです」
お母様が一歩下がったので、僕が一歩出る。
「姫様の未来に栄光がありますよう願っております」
アイテムボックスからプレゼントを出す。
造花の花束だ。
周囲から感嘆の声があがる。
当然だ。
僕の全力を以て造った、<宝石の花束>だ。
カキツバタ、スイセン、スノーフレーク、タチアオイ、ネモフィラ、ケマンソウ、クンシラン、キンレンカ、セキチク、ジャスミン。
全て花言葉に意味を持たせてある。
その花束をクーちゃんに渡す。
「うむ。見事である」
幼い声で、クーちゃんが(きちんと)偉そうにコメントした。
一歩下がり、お母様と礼をして下がる。
「待ちなさい」
声をかけたのは、トレーネ様(クーちゃんのママで皇太
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