第四話
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う。
図鑑には、そんな説明文が書かれていた。
「ああ。個体数のそんなに多くないポケモンらしいからな……最初は、他の野生のポケモンの仕業かと思ったんだが……」
そう言いながらラルトスが連れていかれた治療室の扉を見つめるユウキさん。その顔は、どこか言いにくそうなことを考えているように見えた。
「……ラルトスは天敵の少ないポケモンなんだ。ラルトスを襲うポケモンなんて、聞いたことない」
「…………つまり?」
僕はユウキさんが何を言いたいのかわからなかった。
「多分……あれは人間の仕業だ。しかも、幼い子供」
「……へ?」
だから、ユウキさんから突拍子もないセリフがでた時、本当に困惑してしまった。
「ラルトスってポケモンは、幼い時はかなり弱いからな……格好の餌食だったのかもな……」
「……トレーナーの誰かがやったって事?」
「しかも子供のトレーナー、だな。ベテランのトレーナーなら、野生のポケモンとは必要な時しか戦わないし、な」
ユウキさんはそう言うと、ポケモン図鑑を懐にしまった。
「まぁ、犯人探しは、よっぽどの事がない限り無理だろうな。ざっと見渡したけど、証拠らしい証拠は無かったし」
「……そんな…………」
どうしようもないと言われてしまったら、そこに関しては諦めるしかない。
「だから、俺たちにできるのは、ラルトスが無事になるように祈ることだな」
「……ですね………」
しかし、僕らは祈ることもままならなかった。
僕とユウキさんが二人して手術室の扉を見ると、手術中のマークが消灯した。
「「あっ……」」
思わず二人して声を漏らしてしまった。そして、二人同時に立ち上がる。
手術室の中からはジョーイさんが出てきた。少し疲れている様子だが、顔には安堵の色も見えていた。
「ジョーイさん!ラルトスは!?」
「安心して下さい。もう二、三日入院すれば、元気になりますよ」
その言葉を聞いて、僕は足の力が抜けそうなほど安心してしまった。しかし、何とか踏み止まる。
「良かった……」
「ああ……」
二人してホッと息を吐く。ジョーイさんはそんな僕らを見て、実に嬉しそうな顔をしていた。
「今は面会は出来ないので、また明日の昼頃にでも来て下さい。それじゃ、失礼しますね」
ジョーイさんはそう一礼すると、隣に立っていたラッキーと一緒に立ち去って行った。
「さてと……ポケモン捕まえるのは明日、ラルトスの様子を見てからにしようか。もう夜遅いからな」
「…………はい」
僕は後ろ髪を引かれる思いで、手術室の扉を見る。どうしても、あのラルトスのことが気になってしまった。
「……そんなに気になるなら、今日はここに泊まるか?」
「え
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