ターン7 傾国導く闇黒の影
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人間の痛覚をより鋭敏なものとする機能が追加されています。貴女にも理解できるようにより噛み砕いて言えば、衝撃増幅装置としての機能を併せ持っているわけですね」
「なんだと……!?」
「どうです、素晴らしいものでしょう?どうも最近、裏デュエルコロシアムもマンネリ化が進んでいましてね。ダメージがこれまで以上により鮮烈な痛みとして現れるこの新型デュエルディスクが普及すれば、彼らもより真剣にデュエルを行うようになるでしょう」
投げかけられる言葉を、目を丸くして聞く糸巻。しかし、それも無理はない。彼がなんということもなしに放ったその言葉は、今後の世界情勢を一変させかねないとんでもない爆弾だった。
そもそも「BV」を利用してのテロ行為が今現在冷戦状態にとどまっているのは、全世界に散らばるデュエルポリス達が実体化したカードを近づくだけでその片端から元のソリッドビジョンに戻し、使い手を純粋なデュエルの腕で制圧することにより睨みを利かせて押さえつけているからというだけに過ぎない。テロリスト側が攻めあぐねているからこそ成り立つ危うい均衡の元で保たれてきた、常に後手対応に回らざるを得ないかりそめの平和。その条件がひとたび崩れたとなれば、パワーバランスは変化する。デュエルの相手をして勝利せずとも実体化したカードが消えないとなれば、テロリストがわざわざデュエルに付き合う義理はない。勝負を受ける理由も、その旨味も何もかもが失われるからだ。
「そんなものを、本気で作りやがったのか……?」
だが、彼女が呆然となったのはその部分ではなかった。彼女にとって一番信じられなかったのは、痛みを増幅するデュエルディスクという概念そのものだった。
これまで彼女は心のどこかで、デュエルポリスであることを良しとせず非公認の場での闇稼業に進んだ彼のような元プロたちも、プロデュエリストとしての誇りと矜持は失っていないと勝手に思っていた。国家の犬になる気はないが、デュエルモンスターズは続けたい。その目的があったからこそ、こうして日の当たらない道を選んだのだと。だが、今の言い草はどうだ。まるで、人を傷つけ痛めつけることがその目的の一番上に来ているようではないか。デュエルモンスターズを続けることが結果的に人を傷つけることとなる、というのならば彼女にも理解できる。だがその目的が入れ替わるというのは、まさに彼女にとって異次元の思考回路だった。
「ええ。いやあ、その顔が見られただけでも今日までひた隠しにしてきた甲斐があるというものですよ。とはいえ、繰り返しになりますがまだまだ試作品ですからね。この実地試験の被験者は貴女です、せいぜい壊れるまでは付き合っていただきますよ。カードを2枚伏せ、ターンエンド……そしてこの瞬間、シャドウ・ディストピアの更なる効果が発動します。互いの
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