ターン7 傾国導く闇黒の影
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ター1体をリリースします。ドーハスーラ及び巨竜の聖騎士の魂2つを生け贄とし、黄泉より還れ九尾の狐!」
ドーハスーラの周りを、どこからともなくわらわらと群がってきた実体のない影法師が取り囲んだ。影に飲まれた死霊の王は少しずつ、少しずつ、その体色が濃くなり輪郭がぼやけ、やがて本体の存在しない巨大な1つの影法師と化していった。影だけとなったかつての王が地面に溶け崩れると、墨のように黒いその闇の中からぬるり、と9本の尾を持つ白面金毛の大妖怪が口が耳まで裂けているかと見まごうような邪悪な笑みを浮かべつつ黄泉よりフィールドへと還ってきた。
九尾の狐 攻2200 炎→闇
そして、彼女にはこのカードに嫌というほど見覚えがある。たった今彼女の命を物理的な方法で狙ってきたのがこのカード、というだけではない。それ以前の彼女がプロだった際にも、彼の試合が組まれるたびにその狐顔を見てきたモンスターだ。
何度死してもその黄泉の淵より平気な顔をして帰ってくる、しかも絶対にただでは死なない。まさに巴という男を体現したようなこのカードは、いつしか彼の2つ名の由来ともなっていた。
「来やがったな、『おきつねさま』。ええ?」
「そうですね、ですが攻撃の前に、まずは1つだけ言わせていただきましょう。糸巻太夫、赤髪の夜叉。貴女は本当に、本当に用心深い方です」
まるで心のこもっていない形だけの拍手をパチ、パチと2度ほど行い、同じく感情のこもっていない冷酷な笑みを浮かべる巴。
「ですが、普通ならばプレイングミスと受け取られても仕方ないですよ、今のは?蘇生した九尾の狐ではなく、その前にフィールドに出しただけの巨竜の聖騎士に対し貴重なカナディアをわざわざ発動するだなんて」
「あいにく、アタシは用心深いんでな」
「ええ、貴女は昔からそうでしたね。さも自分が豪快奔放な性格であるかのように装っておいて、その実は緻密な策略家としての顔を合わせ持つ。精密にして思慮深く……詰まるところは、どこまでも臆病な小心者だ」
「あー?」
ぴくり、と糸巻の眉が動く。それに気づいてか気づかずか……いや、間違いなく気付いているのだろう。その上で彼女の反応をいちいち楽しみながら、流暢な調子で言葉を続ける。
「おや、何か間違いでも?だってそうでしょう、結局のところ貴女が恐れているのは、私の手札にあるかどうかもわからない1枚のカードなんですから。違いますか?それを臆病と言わずしてどう称すればいいのか、ねえ?少々私の理解の及ぶところではありませんので、ぜひとも貴女自身にご教授願いたいですね」
「……さっきも言ったとおり、アタシは用心深いんでな。狐畜生風情との化かしあいで、アタシみたいな人間様が遅れを取るわけにゃいかないのさ」
嫌味たっぷりの毒舌にはノータイムで返事
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