暁 〜小説投稿サイト〜
遊戯王BV〜摩天楼の四方山話〜
ターン7 傾国導く闇黒の影
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…ではなく、その隣に潜む魔王の名を持つ悪意の龍。

「バトルだ。さっきの礼をしてやるよ、真紅眼の不屍竜で闇黒の魔王に攻撃。獄炎弾!」

 真紅眼の不屍竜 攻3500→暗黒の魔王ディアボロス 攻3000(破壊)
 巴 LP4000→3500

「ぐ……」

 ただ500ポイントのダメージが通った、戦術的には今はまだそれだけに過ぎない。しかし実体化し、鋭敏となった感覚を刺激するその痛みは、ただのダメージでは済まないほどにその体を苛む。

「どんな気分だ、ええ?先に言っとくがな、アタシはちっとも面白くないぜ。なあ、こんなもんが、アンタらのやりたいデュエルだったのか?」

 苦痛に歪む顔を見てもまるで晴れやかにならない気分を抱えながら、返事の返ってこないであろう問いを、承知の上で口に出す。彼の言いたいことは、彼女にはよく分かっていた。13年前、徹底的に彼女たちデュエリストを否定した世界。その平和にまだ固執するのか、矜持を忘れいいように利用されるだけの裏切り者。この溝は決して埋まることはないし、互いに歩み寄るつもりもない。だからこそ、百万の言葉よりも一枚のカードで語るのだ。

「……真紅眼の効果発動!このカードが存在してアンデット族モンスターの戦闘破壊が発生した時、互いの墓地に存在するアンデット1体を蘇生する!ドーハスーラは除外されちまったが、ちょうどいいもんがアンタの墓地の一番上に落ちてんじゃねえか。アタシが選ぶのは、たった今破壊したディアボロスだ!」

 地に堕ちた魔王の躯が、その全身を鎖に縛られた状態で瘴気に照らされ浮かび上がる。もはや立ち上がることはないかに見えた、腐り果てるのを待つだけの縛られた死体。だがピクリ、とその腐った指が動いた。ボロボロになり穴だらけの翼がベリベリベリ、とその身を縛る鎖によって破られるのも意に介さずに強引に広げられた。そしてその瞳がゆっくりと開くと、既に中身が存在しないくぼんだ左の眼窩にぼわり、と鬼火が灯る。骨の見える腕の腐った筋肉に再び生前の力がこもり、1瞬の静寂。破砕音と共にすべての鎖がはじけ飛び、ちぎれたその破片が血色の沼地へゆっくりと沈んでいった。

 暗黒の魔王ディアボロス 攻3000 ドラゴン族→アンデット族

「さあ、アタシのバトルフェイズはまだ終わってないからな。ディアボロスでドラッグウィリオンに攻撃、アフター・ザ・カタストロフ!」

 闇黒世界よりもなお暗い漆黒のブレスが闇を裂き、弱体化したドラッグウィリオンに襲い掛かる。ひとたまりもなくその姿は闇に消え、巴による怨嗟のような苦痛の声が闇に響き渡った。

 暗黒の魔王ディアボロス 攻3000→オルターガイスト・ドラッグウィリオン 攻1100(破壊)
 巴 LP3500→1600

「ぐああああああ!!」

 
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