暁 〜小説投稿サイト〜
遊戯王BV〜摩天楼の四方山話〜
ターン7 傾国導く闇黒の影
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巴のフィールドに並び立つ、3体もの上級モンスター。やっぱり握ってたんじゃねえかと心中で毒づく糸巻に、わざとらしい動きで自分のフィールドを眺めまわしてみせる。

「九尾の狐、ドラッグウィリオン、ディアボロス……おやおや、私はあまり子供は好きではないので知らなかったのですが、近頃の幼稚園では随分と物騒なものを教えているようですね。ターンエンド、これで貴女の身を守るその貧弱な結界が消えると同時に私のフィールドにはシャドウトークンが生み出されます。私のフィールドに空きは1か所しか存在しないので、呼び出せるトークンも1体のみですが」

 シャドウトークン 守1000 悪魔族→アンデット族

 再び訪れる自らのターンを前に、ボロボロだ、と彼女は思った。こちらのフィールドはすでに壊滅寸前、対する巴の場にはその代名詞たる九尾の狐を筆頭に癖のあるモンスターが勢揃いしている。おまけにいまだフィールドを感染対象求め蔓延している影のデッキ破壊ウイルスの効力により、ドローカードはすべて公開されその守備力が2000以下ならば問答無用で破壊される。
 ……それがどうした。だからこそ、逆転が燃える。突き抜けた理不尽で相手が築き上げてきた道理をぶち壊す、それこそが彼女の最も得意とするところだった。常に綱渡りの勝負ばかりのくせに、なぜか戦績は圧倒的に高い。その粘り強さこそが、かつて名もなき1人の女デュエリストを『赤髪の夜叉』と呼ばれるまでにのし上げた最大の武器だった。
 だからこそ、彼女の心は決して折れない。その身が追い込まれるほどにその闘志は、彼女の長い髪のように赤く熱く燃え盛る。骨の髄まで闘争に魅入られたこの狂人が掴み取ったデュエルモンスターズという戦場は、彼女にとって無間地獄か極楽浄土か。それすらも、彼女にとってはどうでもいいことだった。

「ドロー!」

 そしてその理不尽な勝利を幾度となく目にしてきたからこそ、それを見つめる巴の目に油断はない。彼は彼女を憎むがゆえに、その実力に色眼鏡をかけることもない。属性を操作する巴に、種族を操作する糸巻。2人は根本的に違う人間ではあると同時に同族嫌悪を感じる程度には似通った部分を持つ者同士であり、その強さゆえに相手の力量が一定以上のものであることについてはかえって冷静な評価を下していた。
 だからこそ内心、彼はこう断じる。この女はこのターン、間違いなく反撃に出るだろう。それを可能とするだけの理不尽が、あのドローカードにはあるはずだ。そして案の定糸巻はたった今手に入れた唯一の手札を見て、にやりと渾身の笑みを浮かべた。

「まずはこのドローカード、見せなきゃいけないんだろ?ほらよ。アタシの引いたカードは守備力800のモンスターだから、ウイルスカードに感染して即座に破壊される。そしてメインフェイズ、アンタがたった今墓地に送
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