ターン7 傾国導く闇黒の影
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、明日の朝刊は一面記事の内容をすべて差し替えることになっただろう。さらに続けて2回ほど、転がった彼女の後を追うように同じような何かが突き刺さる。
「こんの……!」
さらに1回転してようやく片膝で起き上がり、声の方を睨みつけながらもデュエルディスクを構える。突然現れた得体のしれない凶器、こんなものを可能にするのは「BV」しかありえない。だがわからないのは、今の実体化の力強さだ。彼女のデュエルディスクは、間違いなく妨害電波を流し続けている。にもかかわらず、一撃で地面を貫くほどの質量が召喚されている。ということは……しかし、彼女に深く考えているだけの時間は与えられなかった。
「うーん、やっぱり反応が早いですね。今ので終われば、私も色々と楽だったんですがね」
サク、サク、とかすかに土を踏む音とともにこちらに歩いてきたのは、すらりとした長身の男。口元はにこやかに笑みを浮かべているもののその目は細く、その奥にある瞳はまるで笑っていない。
この男、彼女にとっては知った顔だった。それも、できれば会いたくない部類の。
「『おきつねさま』……随分久しぶりだね。てっきりその辺でくたばっててくれたもんだとばっかり思ってたよ」
「ええ、お久しぶりです。貴女の方こそ、そんな恥知らずな職でまだ生き恥さらしてたんですか?」
おきつねさま、とは無論、この男がかつてプロデュエリストで活動していた時の異名である。本名を巴光太郎。当時から不仲だった彼と糸巻の関係は彼女がデュエルポリスに再就職した時点で決定的に破壊されつくし、いまやその間には2度と埋まらず互いにその気すらもない溝が深々と横たわっている。それは時間とともに修復されるどころかますます深く広くなり、もはや憎しみと呼ぶ方がふさわしいほどに変化している。
そして彼女にとっては厄介なことにこの男、目的のためならば一切の手段を選ばないことで当時から悪評が広まっていた。今の攻撃にしても、あれは断じて演技ではない。あれで彼女が死ねば面倒が一つ省けて楽だった、その程度にしか感じていない。はじめに声をかけたのも、不意打ちひとつで即死させるのではなくそもそも誰が自分を殺したのか、それを本人に理解させるため以外の目的はない。全く気付かないうちに痛みを感じる暇もなく死んでしまっては、彼の恨みが晴らせないからだ。
総じて彼は危険人物であり、極めて面倒なことに腕の立つ狂人でもあった。
「……どこでテロやってんのかと思ったら、まさかこの町に来てるとはね。どれ、そろそろお縄につく気になったかい?」
「貴女こそ、10年以上前にも私言いましたよね?そろそろ死ね」
口元の笑みは絶やさずに手元のデュエルディスク、そのモンスターゾーンにパチパチパチパチと流れるような動きで4枚のカードをセットする
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