貉(むじな)共の悪巧み・3
[2/3]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
て怪物に、『リバースドナイン』なんて意味深な名前が付けられた理由……それは、元々そいつの正体が解っていたからじゃないのかってな。それに調べていくと、その呼称が使われ始めた最初は米軍だって言うじゃねぇか。コイツはどうにも臭い。リバースドナイン……つまりは逆さの9。9を逆さにすれば6、6という数字が絡んで何度も復活してきた空母、と言えば思い当たる艦は1隻。
「アレの正体、『エンタープライズ』だろ?」
ニヤリと笑いながらそう呟くと、壬生森が俺の呟きにピクリと僅かな反応を見せる。エンタープライズといっても今も現役の原子力空母『エンタープライズ』ではない。
CV-6エンタープライズ。第二次世界大戦を生き抜いた、『ビッグE』もしくは『ラッキーE』の異名を持つ灰色の亡霊(グレイゴースト)。それが奴の正体だ。
「……気付いていたのか」
「まぁな。奴の能力というか、曰くとリバースドナインって名前からの推論だが」
何度も生き返ってきた不死身にすら見える空母、と言われるとイメージされる艦は絞られるし、トラブルが起きた当初からアメリカの影がちらついている事から国も絞り込める。当然と言えば当然の結果だろう。
「だが、エンタープライズが見せ札だった、ってのには俺も驚いたがね」
俺の一言に再び静まり返る店内。ニライカナイの艦娘も、壬生森でさえ驚いた表情のままで固まっている。何せエンタープライズを陰で操っていた真の黒幕(?)である工作艦『ヴェスタル』にニライカナイ艦隊がトドメを刺した時には、俺達は既にブルネイへと引き返し始めていたのだから。
「あ?何驚いてんだよ。良く言うだろ、『壁に耳あり障子に目あり』ってよ」
何時、何処で、誰が話を聞いたり見たりしているか解らないから迂闊な話はすべきではないという諺だが、今回は正にそれに近い。
「成る程、潜水艦を忍ばせていたのか」
「索敵と情報収集は戦略の基本だ。そうだろ?」
そう。予め戦闘海域にはウチの鎮守府所属の潜水艦娘達が網を張っており、ネームレベルの情報収集をさせていた。隠密行動を最優先にさせていた為に集められる情報は最小限だが、そのお陰でニライカナイ艦隊の索敵の網には掛からなかったらしい。ついでにニライカナイの連中の能力解析もさせていたのは内緒だ。
「まったく、油断も隙もない狸だな君は」
「化け狐には言われたくねぇなぁ」
「……という事は、当然撃沈した奴等の遺体も回収済みか」
「当たり前だ。寧ろそれが今回最大のお宝だぞ、逃す訳には行かねぇよ」
元々ウチの潜水艦達はそういう仕事もしてもらっているからな。その分給料はいいが。今頃明石とか夕張辺りが涎垂らして大喜びで解析してる事だろうさ。
「その解析結果は大本営に
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ