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ある晴れた日に
142部分:妙なる調和その十四
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妙なる調和その十四

「証拠が不充分とか言ってね」
「最悪っていうかそれって滅茶苦茶じゃない」
 茜も呆れ果てていた。
「しかも既にわかってたの?」
「自供通りに証拠は出たわ」
 恵美は言う。
「証拠がね。ちゃんと」
「じゃあそれで決まりじゃないのか?」
「ねえ」
「そうだよな」
 皆は証拠が出たと聞いてこう言い合うのだった。こう考えるのは至極当然の流れだった。
「殺人事件で証拠がちゃんと出たら」
「普通は」
「まあ例外もあるけれど」
 それはあるにはあることであった。自供通りに出たその証拠が容疑者の指紋もなかったりその品そのものがおかしかったりしかも以前に何度も調べて出なかったのに自供が述べられた途端にその証拠の品がいきなり出て来たということもあるのだ。だがこれはあくまで例外だ。
「それでもね。その事件は」
「間違いないのね」
「しかもその容疑者の周りでは行方不明になった人が何人もいたわ」
「それってよお」
「話を聞けば聞く程」
「真っ黒ってやつ?」
 そう思わざるを得ない話であった。
「その行方不明になった人達も」
「そいつが、だよなあ」
「ところがよ。自供は認められないとか言われたり余談や偏見は駄目って言われて」
「それで無罪!?」
「何て話・・・・・・」
「そうよ。無罪になったのよ」
 恵美の顔は憮然としたままであった。
「弁護団の勝利で冤罪のヒーローになったのよ」
「絶対冤罪じゃないね」
「間違いねえな」
 皆もそう思うしかなかった。
「それって」
「やっぱり」
「そして」
 恵美はあからさまに疑う彼等にさらに述べた。
「その容疑者は無罪判決の後ですぐに窃盗で捕まったわ」
「すぐ!?」
「しかも窃盗!?」
「そうよ」
 これが話の続きであった。
「しかも小さな女の子を殺そうとしたり知り合いの女の人を殺して今度も捕まったわ」
「おい、そいつ殺人鬼だろ?」
 野本は完全に呆れた声で恵美に返した。
「もう完全によ」
「普通はそう思うわよね」
「そうとしか思えないぜ、おい」
「やっぱりその無罪になった事件も」
「他の行方不明の人もやっぱり?」
「けれど無罪になったのは事実よ」
 これは紛れもない事実であるのだった。
「その容疑者がね。弁護団や支援者のおかげでね」
「その殺された人支援者に殺されたのと一緒ね」
 明日夢がうんざりとした顔で述べた。
「とんでもない話じゃない」
「俺だったらその支援者バットで殴り殺すな」
 佐々もカウンターでうんざりとした顔になっていた。
「被害者の親戚とかだったらな」
「けれどその支援者達は懲りずにまた冤罪だって言ってるのよ」
「普通に死ねば?そんな連中」
「なあ」
 春華は奈々瀬の今の言葉に顔を
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