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人理を守れ、エミヤさん!
地獄の門へ (下)
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だ。どんな忍でも、風魔(おまえ)以上は有り得ない」

 ――やっぱり、そう言ってくれた。

 分かりきっていたのに、やはり嬉しい。胸が震えるほどに、歓喜する。
 そしてそう言ってくれる主だから、僕は言えるんだ。主殿は今、破損してはいるものの聖杯を所有してる。なら、きっと出来る。

「主殿……僕は、死にます……」
「……」
「しかし……敵地に、主殿だけを残す、事だけは避けたい……だから、主殿……お願いです。僕が、死ぬ前に……消える、前に……

 僕の霊基を使って、サーヴァントを召喚してください」

「なっ――」

 主殿が否定する。そんな真似できるか、と。
 不可能なのではない。ただ、それは、触媒と生け贄になるサーヴァントに、地獄の苦痛を与える事になるから――僕を苦しませたくないから、否定なさっている。

「お願い、です……僕の、任務は……主殿を、お守りする事……風魔の矜持にかけて……務めを、果たさせてください……最後の奉公を……短い間でしたが、僕の主に、果たさせて、ください……」

 吐血する。
 主殿は、苦悩し、一筋の涙を右目から流してくれた。

 嗚呼――



「――告げる。
 汝の身は我が下に、我が命運は汝の剣に。
 聖杯の寄るべに従い、この意、この理に従うならば応えよ。

 誓いを此処に。
 我は常世総ての善と成る者、
 我は常世総ての悪を敷く者。

 汝三大の言霊を纏う七天、
 抑止の輪より来たれ、天秤の守り手よ――!」



 僕は、善き主人に巡り会えた。それだけで、全てが報われている。










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