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人理を守れ、エミヤさん!
地獄の門へ (下)
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 ――雨が、降っている――

 そして。魔剣から漏出していく虹が、螺旋の断層を生み出していく。フェルグスは吼えるようにして螺旋の魔剣を地面に突き刺さず、その切っ先を鉄心の男へと向けて。

「――『虹霓剣(カラドボルグ)』」

 螺旋の渦が、奔った。

















 ――ハ、ハ、ハ。

 まるで狗のようだと自嘲する。溢れ落ちていく臓物に苦笑する。
 分身、空蝉の術、火薬玉……持ち得る全ての誤魔化しの術を用い、死に物狂いで遁走したというのにこの始末。担いでいる主は意識がない。事もあろうに道具であるサーヴァントを、道具でしかない乱波を庇い、あろう事か超雄の拳打を受けて昏倒していた。

 宝具を使い、風魔忍群総力で虹霓の暴風を齎す英雄を足止めした。しかし、次の瞬間には螺旋の虹によって暗闇は払われ、風魔の忍らは一掃されてしまっていた。
 意識を失った主を担ぎ、全速力で逃げ出したが――何処をどう走ったのか、不覚にも記憶から抜け落としてしまった。

 英雄は言った。

「潔いまでの逃げの一手、見事。この俺から逃げ切ったのだ、いつか再び挑むがいい。その日の為に俺は追わん。逃げ切ってみせるがいい」

 逃げ切れたのか、と己に問う。
 確信はない。ケルト戦士の追跡は執拗だった。だが、何者かが追ってくる気配はない。
 森の中、樹木に背を預けさせる形で主を下ろす。それで、力尽きた。倒れる。
 まだだ、まだ死ねない。サーヴァントとして、死を遠ざけるスキルなんて持ち合わせてはいないが、そんなものは関係ない。今、主の意識もない状態で死ねばどうなる? サーヴァントも、味方もいない孤立無援。そんな中に主を一人にする不忠は認められない。

 息が、切れる。それでも呼吸する。

 どれほど経ったろう。雨は止まない。手足が熔けて消えている。マズイ、もう、保たない……諦念が意識を遠退かせる瞬間、主は目を覚ました。

「ッ……? ……! 小太郎!?」
「主、殿……目が、覚められました、か……」
「お前……」

 主殿は聡明であられる。こちらを見るなり、その状態を察してくれた。
 悲痛に歪む顔に、今後の己の危機を憂う様子はない。ただただ風魔小太郎を惜しみ、悔やむだけの心情があった。
 それが嬉しい。人でなしの風魔小太郎を、こんなにも惜しんでくれている。

「――よかっ、た。なんとか、不忠を、働かずに済みました……」
「……っ」
「主殿……一つ、お訊きしたい」
「……なんだ?」

 答えは、聞かなくても分かる。きっとこう言ってくれる、そう信じてくれると、僕は知っていた。それでも、訊くのだ。

「僕は……風魔は、如何でしたか……?」
「決まっている。最高の忍
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