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人理を守れ、エミヤさん!
地獄の門へ (中)
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指示する。後退しながら殺し間(キリング・フィールド)に誘い込み、そこからの一撃で趨勢を決するんだ」
「承知。破壊工作は出来てませんが、やるのですね?」
「奴らの方が俺よりも足が速い。後退しながら工作するのは無理だろう。まず先制射撃を加える」

 黒弓を投影する。片膝をつき、磐石な射撃体勢を整えた。銃の方が得意なのだが、やはり威力と射程は弓が上という悩ましい問題があった。
 ――破損聖杯接続。魔力供給開始。
 懐に呑んでいる破損聖杯に魔術回路を繋げる。破損して五%しか魔力総量がないとはいえ、幾ら使っても無くなる事のない魔力タンクだ。五%でも俺の魔力量よりも遥かに多い。利用しない手はなかった。
 偽・螺旋剣を投影し、弓に番える。真名解放と共に射撃し、敵軍団に着弾させた。爆発はさせない。ケルト戦士らは咄嗟に回避したのか、五十名ほどしか削れなかった。よくよく化け物だ。
 こちらの存在を察知したらしく、雪崩を打ったように駆けてくる。それに俺は矢継ぎ早に剣弾を射込む。

「……八十か。俺にしては頑張ったな」
「いえ、大戦果です。サーヴァントでもないのに凄まじい働きでしょう」
「働くのはこれからだ。定時は五分間」

 大火力の射撃を続けたのだ。早く白兵戦に持ち込みたいのだろう。殺気を漲らせ突撃してくる。
 平野だ。しかもこちらは二人。罠を疑いもしていない。俺はゆっくり後退しながら矢を射込むも楯で防がれる。防がせる。大火力の射撃は連続して行えないと思わせた。
 そしてケルト戦士四百二十ほどが殺し間に入った。

壊れた幻想(ブロークン・ファンタズム)

 奴らの足元から神秘爆弾の炸裂を見舞う。怒号のような阿鼻叫喚と、爆風に煽られながら俺は懐のケースから煙草を抜き取り、ライターで火を点け口に咥えた。
 吸い、精神疲労を抑える薬効の効果を感じつつ紫煙を吐き出す。微かな魔力が籠ったものだが、備蓄は後四本か。ゆらゆらと立ち上る煙を見上げて、爆発が収まるのを待つ。

「小太郎」
「は! 阿鼻叫喚地獄をご覧に入れましょう。大炎熱地獄の責め苦を与えます――『不滅の混沌旅団(イモータル・カオス・ブリゲイド)』!」

 更に半数は削った所に、風魔小太郎を突入させる。小太郎の配下の忍が二百の霊体として召喚される。算を乱したケルト戦士団の周辺に暗黒の帳が落ちた。視界を封じ、混乱する敵隊列に風魔忍群が襲い掛かる。
 断末魔が轟くも、ケルト戦士らが討たれる光景は暗闇に呑まれ見る事は出来ない。冷淡な瞳でそれを見守り、煙を吹かす。四分ほど経っただろうか。暗闇が晴れ、そこには小太郎だけが立っていた。

「斃したら消える。衛生的で実に結構な敵だ」

 煙草を捨て、火種を踏み躙る。

「そして、流石は風魔。名の通り風の魔物のような仕事だ
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