地獄の門へ (中)
[3/4]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
指示する。後退しながら殺し間に誘い込み、そこからの一撃で趨勢を決するんだ」
「承知。破壊工作は出来てませんが、やるのですね?」
「奴らの方が俺よりも足が速い。後退しながら工作するのは無理だろう。まず先制射撃を加える」
黒弓を投影する。片膝をつき、磐石な射撃体勢を整えた。銃の方が得意なのだが、やはり威力と射程は弓が上という悩ましい問題があった。
――破損聖杯接続。魔力供給開始。
懐に呑んでいる破損聖杯に魔術回路を繋げる。破損して五%しか魔力総量がないとはいえ、幾ら使っても無くなる事のない魔力タンクだ。五%でも俺の魔力量よりも遥かに多い。利用しない手はなかった。
偽・螺旋剣を投影し、弓に番える。真名解放と共に射撃し、敵軍団に着弾させた。爆発はさせない。ケルト戦士らは咄嗟に回避したのか、五十名ほどしか削れなかった。よくよく化け物だ。
こちらの存在を察知したらしく、雪崩を打ったように駆けてくる。それに俺は矢継ぎ早に剣弾を射込む。
「……八十か。俺にしては頑張ったな」
「いえ、大戦果です。サーヴァントでもないのに凄まじい働きでしょう」
「働くのはこれからだ。定時は五分間」
大火力の射撃を続けたのだ。早く白兵戦に持ち込みたいのだろう。殺気を漲らせ突撃してくる。
平野だ。しかもこちらは二人。罠を疑いもしていない。俺はゆっくり後退しながら矢を射込むも楯で防がれる。防がせる。大火力の射撃は連続して行えないと思わせた。
そしてケルト戦士四百二十ほどが殺し間に入った。
「壊れた幻想」
奴らの足元から神秘爆弾の炸裂を見舞う。怒号のような阿鼻叫喚と、爆風に煽られながら俺は懐のケースから煙草を抜き取り、ライターで火を点け口に咥えた。
吸い、精神疲労を抑える薬効の効果を感じつつ紫煙を吐き出す。微かな魔力が籠ったものだが、備蓄は後四本か。ゆらゆらと立ち上る煙を見上げて、爆発が収まるのを待つ。
「小太郎」
「は! 阿鼻叫喚地獄をご覧に入れましょう。大炎熱地獄の責め苦を与えます――『不滅の混沌旅団』!」
更に半数は削った所に、風魔小太郎を突入させる。小太郎の配下の忍が二百の霊体として召喚される。算を乱したケルト戦士団の周辺に暗黒の帳が落ちた。視界を封じ、混乱する敵隊列に風魔忍群が襲い掛かる。
断末魔が轟くも、ケルト戦士らが討たれる光景は暗闇に呑まれ見る事は出来ない。冷淡な瞳でそれを見守り、煙を吹かす。四分ほど経っただろうか。暗闇が晴れ、そこには小太郎だけが立っていた。
「斃したら消える。衛生的で実に結構な敵だ」
煙草を捨て、火種を踏み躙る。
「そして、流石は風魔。名の通り風の魔物のような仕事だ
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ