地獄の門へ (中)
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期戦を想定する。
案外味方に引き入れるサーヴァント次第で、魔神柱の思惑を超えられるかもしれないと希望的観測を抱きつつ。……それがほぼ不可能だと俺の経験が告げるのを無視した。その無意識の声に耳を傾けたら、流石に心が磨耗してしまいそうだ。
思考が悪い方、悪い方に向かう。それに歯止めを掛ける為に頭を振って無心で歩いた。そうして何時間か淡々と歩いていると、ふと俺は右目を細める。霊体化して傍に付いてくる小太郎に、俺は冷淡に告げた。
「――敵影を視認した。距離10000」
「そんなに遠くまで見えるのですか?」
ああ、と頷く。鷹の目と揶揄される俺の視力だと、四q先の橋のタイル数まではっきり見える。が、大雑把で良いのならその倍以上離れていても物体を視認するのは充分可能だ。と言ってもその場合、具体的な人数や背格好を識別するのは不可能だが。ぼんやり見える程度である。
平野だ。小太郎に戦闘背嚢を預けて一旦下がってもらう。食糧と水の詰めた瓶が戦闘に巻き込まれては堪らない。安全圏に置きに行ってもらう。フィールドは平野だ、舌打ちする。身を隠す場所はない。
「投影開始。――憑依経験共感終了。工程完了。全投影、待機」
脳裡に広げた投影し慣れた宝具の設計図を魔術回路に装填し、大量の干将と莫耶を前方二十メートル四方に散らばるよう、剣先を上方から真下に向くように照準する。
「停止解凍、全投影連続層写」
打ち出す干将莫耶は地面に突き刺さり、そのまま地面に柄頭まで食い込んだ。戻ってきた小太郎と手分けして地面から顔を見せている柄頭に砂を掛けて隠す。
数秒待ち、前方からやって来る敵影が上げる砂塵の規模を小太郎も視認した。
「……主殿、敵軍勢およそ五百です」
「む、砂塵で分かるのか?」
「はい。主殿も直ぐに判別出来るようになると思います」
五百の軍勢なんて現代では見たことがなかったが、なるほどあれぐらいの規模が五百か。
まあアルトリアの過去やクー・フーリンの過去でも、夢で軍勢の進軍光景は見たことがあるが、どうしても曖昧で現実のそれと比較するのは難しかった。
が、これでおおよその感覚は掴んだ。
それにしても五百の軍勢……。大部隊ではないが、本格的な部隊だ。数が多い。何処に行っている? 俺を殺しに来たというふうではない。遭遇戦か? では何処に向かう気なのか……何処であるにしろ、ろくな目的ではないだろう。奴らをやり過ごして追尾すれば案外と生き残りの人々の所に案内してくれるのかもしれないが――幾ら切羽詰まっていても、他者を巻き込む危険な真似はするべきではない。よって、
「殲滅するぞ。小太郎、宝具の使い時は俺が
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