黒星団-ブラックスターズ-part1/シエスタのアイデア
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には、無茶な戦いを続けてきた自分のせいで辛い思いをさせてきてしまった。ずっと外の世界を見てみたいと言っていた彼女がもし外の世界に恐怖し拒絶してしまうようなことがあったら、自分の責任だ。そんなことはあってはならない。辛い思いをさせた分だけ、楽しい日々を過ごしてほしい。今回の舞踏会のことも、シエスタの提案も彼にとって、テファへの償いと、彼女が外の世界に希望と夢を強く持つためのチャンスでもあった。
それに万が一、ウルトラマンの力が必須になるほどの事案が起こったとしても…同じウルトラマンであるサイトがいる。ならば、問題はないと言っていいかもしれない。
「あんたね…せめて私のいないところで言いなさいよ」
本人の前で堂々と下らないと言ってのけるシュウに、ルイズは機嫌を損ねる。…自分だってこんなこと他人に頼むことじゃないのはわかっているが、言い方を考えてほしいものだ。
「加えると、リシュをマチルダさんやチビたちに紹介するいい機会にもなる。それに……お前もそろそろ外で羽を伸ばしたいはずだ。森でずっと隠れ住んでたお前も、外の世界には元々興味があったみたいだし、せっかくだからシエスタの言っていたカフェ、行ってみるか?」
シュウが、戦い以外のことで自分たちのためになる何かをしてくれる。
「うん…!」
それがとても嬉しくて、テファは笑みをこぼして頷いた。
「わーい、お兄ちゃんとデートだ!お兄ちゃん、ちゃんとエスコートしてね?」
「はいはい。せいぜいはぐれるなよ」
シュウが最終的に外出に乗り気だと分かった途端、リシュは大いにはしゃぎ、そんな彼女をシュウはため息交じりに諫めた。
やがて皆が寝静まった頃………
キュルケはその日の夜も、魔法学院の校舎のバルコニーに上っていた。今日は暖かい飲み物も自分と彼女の分も持って。あの青い髪に黒い翼をもつ少女が、今日も現れるのではと思ったからだ。階段を登り、バルコニーに着くと、予想通り例の彼女はそこにいた。以前の通り、彼のいる部屋をじっと見つめている。
「今日もここにいたのね。夜の妖精さん」
キュルケに気がついて、少女はバルコニーの入り口の方を振り返ると、キュルケからカップを手渡された。
「ずっとこんなところじゃ寒いでしょ?温かい飲み物、持ってきたわ。熱いから気を付けてね」
「ありがとう」
カップを受け取り、ちゃんと飲んだところを見ると、少なくとも幻の類ではなかったことがはっきりした。そんなキュルケの視線に気づいて、亜人の少女はキュルケを見つめ返した。
「ねえ、結局あなたの名前…まだ教えられないの?」
「…リリア。本名じゃないけど、今はそう呼んで」
「本名を聞いてみたいけど」
「それはいつか、私がその気になったら」
リリアと名乗った少女は、再度シュウたちがいるであろう部屋の方角に向き直る。
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