黒星団-ブラックスターズ-part1/シエスタのアイデア
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いるのはシュウの目から見ても明白だった。
「明日、街へお出かけするの?わーい!」
すると、横で話を聞いてきたリシュがはしゃぎだした。
「シュウ兄、お出かけしよう!ずっとお部屋の中にいてばかりじゃ詰まんないもん!」
「こ、こらリシュ!」
シュウには、たった今行っていた飾りつけ等を含め、舞踏会の準備も行っている。そんな我儘を言うものじゃない、とテファはリシュに注意を入れるが、ここでルイズが煽りを入れた。
「あら、リシュは聞き分けが良いようね。さっきの無礼な仇名については不問にしてあげる」
「おい、だから勝手に話を…」
「…だめ?」
話を進めるな、と言いかけたところで、リシュがシュウの顔を見上げてきた。円らな瞳が、涙が今にも溢れるのではと思えるくらい揺れている。ここで断ったりなどしたら、自分は子供の気持ちを平気で無碍にする大人げない奴として認定される…というのは別に良い。ただ、泣かれるのは嫌だった。シュウは子供の泣き顔やわめき声が好きではなかった。自分が子供が苦手だと認識している原因でもある。
「…わかった」
「シュウ、本当にいいの?」
テファが聞いてきたが、後々から慰めたりしなければならなくなって面倒だからだ。こうなると、断固として断るということができなくなったも同然だった。とはいえ、子供の面倒を見てきたテファとしても、リシュの訴えかけてくるような円らな瞳はクリティカルヒットものだったらしいので、彼女も断り辛そうだ。
「不本意だが、リシュの言い分にも一理ある。ヴァリエールの下らない頼みのためだけに行くのも嫌だしな」
それに、シエスタの提案にあったカフェについて…これはシュウもまた戦士としての勧もあって気になっていた。地球人にとってごく一般的な飲み物であるコーヒーが、この世界では最近になって噂になった。裏で何かの意思が働いているようにも思えてならない。
だが……どうするべきか、シュウ単独の判断では正直決めかねていた。もしまた、今回の件がきっかけでまた、ウルトラマンの力が必要となるような戦いが起こったら…今の自分は、戦ったところで災いしか振りまくことができない。戦おうが戦わまいが、もしそんな戦いが起きたら………
(…最近見る夢では、俺はウルトラマンとしてもうまくやれていたというのに…現実ではうまくいかないものだな…)
おぼろげな形でしか記憶してないが、最近の夢でウルトラマンとして自分は成功していた。しかし現実では、ザ・ワンのころから積み重ねてきた失敗で、絶望ばかりが積み重なっている。
…いや、よく考えろ。たかがコーヒーじゃないか。巷で評判になるほどなら、別に味に問題があるわけでも毒物が入っているわけでもないはずだ。危険を考慮して断ってもリシュがぶー垂れて後から厄介だし……そこまで考えたところで、シュウはテファの方を見やる。
彼女
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