暁 〜小説投稿サイト〜
ウルトラマンゼロ 〜絆と零の使い魔〜
黒星団-ブラックスターズ-part1/シエスタのアイデア
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その姿勢のまま、彼女はキュルケに向けて口を開いた。
「…ねえ、あなたは…今は誰が好きなの?」
「あら?あたしの恋の相手に興味あるの?」
「少なくとも私はシュウが好きって言った。あなたの相手にも興味がある」
ようやく少女が自分から話を振ってきた。キュルケは満足そうに笑みを溢し、自分の現在の恋愛事情を明かし始めた。
「そうね、今のあたしが好きな人は……たくさんの人たちから慕われているわ。少し前まで、あたしは戦うことに臆病な男は軟弱って思ってた。その人のことも弱い男だって思ってた。
でも違った。少なくともあの人のは、命の大切さと重さを知っていたからこその優しさでもあったの。今までのあたしは、ただ強くてかっこいい、雄々しい人が一番だって思ってた。だからサイトやシュウも好きだったけど、あの人の本質に気付いたとき、あたしは恋愛に関してまだ未熟だったことを痛感したわ」
「…」
少女…リリアは興味深そうにキュルケの話にしっかり耳を傾けていた。
「お金とか家柄、見た目、内面…たくさんの基準で男を見てきたけど、彼のことを知って、あたしの直観が囁いたの。この人だっていう自分の素直な気持ち。どうしてこんな人に、とも思ったわ。だってその人、あたしよりずいぶん年上だもの。でも全てにおいて完璧に当てはまる男が目の前に現れても、その男があたしの理想かと思ったらそうじゃない。条件を決めてそれに当てはまる相手じゃ心が燃えないの」
それは、キュルケの恋愛事情に対する認識が改まったことの表れであった。以前は単純に力が強かったり、容姿も優れているとか、勇猛果敢であることがキュルケにとっての理想の男像だった。でも、今のキュルケはそれ以上に男に求めるものを知った。故に今となっては、好意を抱いている相手はサイトでもシュウでもなく……今となっては全く予想外な男であった。
「…結局、直観が大事ってこと?」
「そう、やきもきさせるところ、じれったいも含めてね」
「…そうね。あたしもそう。理屈じゃないの、直観で彼がいいって思った。この世の誰にも、シュウを渡したくない 。当然、一緒にいるあのエルフにも」
キュルケは彼女の一点の曇りもない目を見て、少したじろぐのを覚えた。水晶のように澄み切っている。同じ相手にもし恋をしていたら、もしかしたら退くことも考えていたかもしれない。最もそんなことになっても、最終的に自分は絶対に退くまいと踏みとどまるつもりだが。
「だから、明日は少し踏み込んで見ようと思うの」
「へぇ、どんなふうに?」
「秘密」
いたずらっぽくリリアは笑った。この場で聞けないのは残念だが、これは明日が楽しみになってくる。

しかし、リリアが口にした言葉の意味は、キュルケが考えていたような形ではなかったことに、彼女はまだ気づけなかった。

気づけるはずもない形だったのだ
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