黒星団-ブラックスターズ-part1/シエスタのアイデア
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期日である虚無の曜日。それまでに生徒たちへの説得がなされなければ、平民に向けた舞踏会は開催できない。
サイトたちは、その日までにできる限り説得と作業に取り掛かっていた。
そんなサイトたちに、立場上表立っての支援こそできないが可能な限り力を貸そうと、コルベールが舞踏会を行うための会場へ案内してくれた。実際に会場を見たほうが、準備に必要な残りの資材の特定など、やるべきことが見えてくるだろう、とのことだ。
「着きましたよ。ここです」
扉を開くと、屋内というには広大な空間がサイトたちを出迎えた。
「ここって、フリッグの舞踏会で使われるホールじゃない!本当なんですか、ミスタ・コルベール!?」
ルイズは驚きを露にして、ここまで案内したコルベールに言った。
「生徒全員の収容と、平民の招待を考えると、この広さは必要になるでしょう。他にも机やテーブルクロスなど、必要なものも十分に用意されている。学院勤務の召使の方々にも、この場所の維持は常に念入りに行うように言いつけられているから、少し手入れをすればすぐに使えるはずですよ」
コルベールの言う通り、さすがは貴族の通う学院というべきか、つい最近建てられたばかりなのではと思えるくらいに、全く埃被ることなくホールは綺麗に清掃されていた。
「まぁ、最も今は、まだ開催が決定されたというわけではない。最終的な許可はオールド・オスマンが下ろすのだからね」
しかし、これは決して悪い傾向ではない。貴族にしか縁のない場所を、平民のために開放できるかもしれないということは、まだオスマンたちには自分たちを支援したいという強い気持ちの表れだ。
「ここかぁ!懐かしいな。来たのがもうずいぶん前のことみたいだよ」
サイトはここに以前来たことがある。なぜなら、ここは土くれのフーケことマチルダの破壊の杖盗難事件の後で行われた舞踏会の会場だ。
「ここが、舞踏会の会場…平賀君、前にもここに来てたの?」
ハルナは、舞踏会を開催しようとする仲間たちと共に訪れたそのフロアを一望する。煌びやかで綺麗だ。まるで、西洋時代や異世界を舞台とした映画で見かける王宮の内部景色のように思えた。そんな場所に立場上は平民のサイトも招かれていたことは意外であった。
「ルイズに召喚されて間のないころにな。ここで俺たち、一度踊ったんだよな」
「そ、そうね……ちゃんと覚えてくれてたみたいね」
話を振られてルイズが頬を赤く染める。ルイズにとって、サイトの距離が縮まった大切な思い出、それをサイトがしっかり忘れずにいてくれていたので機嫌がよくなっている。
「…ふーん、そう。ルイズと…ね。へぇ〜…?」
「え?えっと…ハルナ、いや…アキナさん?」
しかし一方でハルナの口調が、妙に重くなった。見ると、いつの間にか髪型が下ろされたものではなく、ポニーテールに結われ、その
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