ソードアート・オンライン〜剣の世界〜
3章 穏やかな日々
30話 立ち直り
[1/4]
[8]前話 前書き [1]次 最後 [2]次話
「久々にここまで重い戦闘やったね…」
「ああ…25層のボス戦を思い出したな」
なんとか3人でボスを倒すことに成功した。が、役割が全員アタッカーのため、あまりにも編成のバランスが悪く、少々てこずってしまった。
体と脳に残る重めの疲労感を感じつつ、リアは振り返り、キリトを見た。
必死にメニュー画面をスクロールしているであろう指は、驚く程震えていて、嫌でも彼の期待と不安が伝わってくる。
数秒後、キリトの手がぴたりと止まる。そして、キリトの手の中にふわりと、七色に光る、途方もなく美しい宝石が舞い降りた。
リアとツカサは、それを固唾をのんで見つめた。
「サチ…サチ…」
キリトのすがるような小さな声が、白銀の世界に静かに響き渡る。
キリトの指がその宝石をクリックした。2人が見守る中、キリトの瞳が、彼の前にあるだろうアイテムの説明欄を追って動く。だが…
「うぁ…あああああ…」
キリトの喉の奥から、獣のような咆哮が発せられ、キリトはその宝石を力いっぱい雪の上へたたきつけると、何度の何度も踏みにじった。
「っ、キリト!」
「キリト、落ち着け!」
流石にリアとツカサも黙ってみていられなくなり、暴れまわるキリトを押さえつける。
「くそっ…くそぉぉ??」
リアが筋力値に物を言わせ、キリトの動きを封じる中、キリトはずっと叫んでいた。ツカサはキリトが実体化した宝石を拾い上げて、リアにも見えるように、説明画面を可視モードにする。
そこには見慣れたフォントと形態で説明文が書かれていた。
それを読み終わったリアの腕からは力が抜け、キリトの体がどさりと雪の上に滑り落ちる。
あまりにも彼にとって残酷な仕打ちだった。その宝石の効果は、死亡して“10秒以内”のプレイヤーをよみがえらせることができるというもの。
ツカサも悔しそうにうつむき、リアも唇をかみしめた。
一筋の希望を与え、どん底に叩き落す。
こんなことなら、いっそのことこんなアイテムないほうがましだった。デマだったほうがよかった。
「ごめん、リア姉、ツカサ…」
わずかに聞こえたキリトの声に、そちらを振り返った途端、「転移、ミュージエン」という言葉とともにキリトの体は消え去っていった。
―?―?―?―?―?―?―?―?―?―
「ごめんね、残していくようなことして」
「いんや、あいつはリアとツカサだからこそ一緒に行ったんだよ。俺達がついてこうとしてたら、きっと俺たちを攻撃してまで一人で行こうとしてたさ」
クラインと先ほど別れた場所まで戻ってみると、そこには疲弊したクラインと風林火山のメンバー
[8]前話 前書き [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ