第五特異点『北米三国大戦アンリミテッド』
全力疾走だね士郎くん!
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朦朧としていく。視界が血で染まっていく。その間にも何度も楯が顔面に振り下ろされていく。何度、殴られた……? 動けない……。
まずい、意識が、落ち……
『 』
遠い理想郷に、微笑む少女の姿を幻視した。
……まだ……だ。
「――まだ――俺は――死ねないッ! 死んで堪るかァァアアッッッ!!」
俺の意識が落ちたと油断した戦士が、大振りにトドメの一撃を振るうのを掻い潜る。腰が微かに浮いていたのだ。カッと右目を見開き、地面を蹴ってケルト戦士を跳ね退ける。そして腹を蹴りつけてマウントポジションから脱すると、楯を取り落としていた戦士の眉間に銃撃を浴びせる。
これで、七人……。
「は、……はっ、は……」
枯れ木に背を預ける。油断を消し最後の五人が包囲してにじり寄ってくる。
……腕が上がらん。指から銃が滑り落ちた。まだ戦える、噛みついてでも殺してやると睨み付けた。一瞬、ケルト戦士達がたじろぐ。おいおいどうした幽霊でも見た面しやがって。
「何ビビってやがる……来い、掛かって来いッ! お前ら如きに俺が殺せるかァッ!」
「――いいえ。後は僕に任せてください」
眼前に、赤毛の少年が突如現れた。俺は目を見開く。忍装束を纏った少年は、背中越しに俺を振り向いた。
「……鬼気迫る奮闘、お見事でした。この風魔小太郎、義によって助太刀致します」
俺は笑った。なんて悪運だ、なんて運命だ、ああいや、最高のタイミングだよ。
「ああ、頼む」
「ええ。では――風魔忍群が長の力、篤とご覧あれ!」
一陣の風となってアサシンのサーヴァント、風魔小太郎が馳せる。
――それが、極短い間の付き合いとなる忍との出会いで。
数多の死に彩られた血戦の序章、その一部だった。
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