第五特異点『北米三国大戦アンリミテッド』
全力疾走だね士郎くん!
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物じゃないのに、愚か者が、戯けが、だが本当にどうしようもないのは――この選択に後悔がまるでない事だ。
狙撃銃でスコープも覗かず立射する。強化の魔術を全身の毛穴から血を噴き出しながら使用し、無理矢理に衝撃に耐える。ケルトの戦士が楯を掲げて頭部を守った。弾丸が楯に止められ火花が散る。着弾の衝撃を腕一本で支えきったようだ。
化け物らしい。ケルトの戦士とやらは。苦笑いするしかない。遠距離からの銃撃が意味を成さないなら、近距離から直接弾丸をお見舞いするしかなかった。
「――何をしている!? 走れェッ!」
目を見開いてこちらを見る人間達に怒鳴る。彼らはハッとして、俺の意図に気づいてくれた。
長身の軍人が敬礼し、仲間達を連れて走り出した。そちらを狙い、槍を投げようとするケルト兵を狙撃する。ケルト戦士は逃げる連中ではなく、噛みついてくる虫けらを殺す事にしたらしい。猛然と駆け出していた。
「……ハッ」
狙撃銃を捨て、消す。走り出した。全力で駆けた。十二名とも俺を追っている。そうだ、それでいい、格好いいだろ? 何せお前らが唯一恐怖した戦士、クー・フーリンのマスターだ。そりゃあ追い掛け回したくもなるだろうさ。サインでもやろうか。
とんだチキンレースだ。追い付かれたら死ぬ。槍が投げられてきたのを、振り向き様にデザートイーグルで撃ち落とす。そしてまた逃げる。ははは、実はアーチャーの奴と違って、俺は弓より銃の方が得意なんだ。追い付いてみろ、その時はせめて六人は道連れにしてやる。
ジリジリと距離を詰められていく。早くも息が切れ始めた。勘弁してくれ、こちとらヘラクレス野郎と魔神霊と戦った直後だぞ。ギリシャの次はケルトか。ならこの次はインドか? ウルクか? エジプトか? このさい全部乗せでもいい、纏めて面倒見てやるさ。
林を見つける。枯れた木々、その先には何も見えない。畜生が、ここを俺の墓場にしろって? いいだろう、墓標には「最高にクールな男、ここに眠る」とでも書いとけよ。頼むぞケルト野郎どもがッ!
「……!」
林とも言えないまばらな木々の乱立する場所。そこに飛び込み、俺は即座に戦闘服を脱いだ。ケルト戦士達の死角に入るなり、全身に砂塵のような泥を被る。塗りつける。
気休め程度のペイントだ。なんの効果もない。だが辛うじて地面には段差がある。窪みがある。地に伏せて匍匐で移動する。その前にカラのマガジンを投影して、吐血し、それを明後日の方へ放り投げる。
急げ、急げ! 辛うじてケルト戦士達が林に入る前に、元の場所から五メートルは離れられた。
あちらこちらに目を走らせ、むさ苦しい髭面どもが俺を探している。さあどうする俺、此処からどうやって切り抜ける。考えてる暇はない、俺の血の跡に気づいた戦士が一人、それを辿って近
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