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人理を守れ、エミヤさん!
第五特異点『北米三国大戦アンリミテッド』
全力疾走だね士郎くん!
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るカルデアの通信機、それに内蔵されている時計を見る。日付と時間を確認、時計を合わせ、タイムを計る。
 壊れた聖杯にパスを通す。昔はこんな真似も出来なかったなと懐かしさすら感じた。魔術の腕が飛躍的に向上し、遠坂凛の爪の垢ぐらいの腕にはなれたかもしれない。

 ケルトの戦士団は十二名。一個小隊。魔力は破損聖杯でなんとかなるが、それを通す魔術回路はオーバーヒートしている。宝具の投影は不可能。したら自爆する。体のキレも疲労のため鈍い。単独ですらケルトの戦士は死徒の半分程度の戦力はあるかもしれない。それが十二名……。

 撤退だな。どう考えても圧殺される。今の俺だと二人道連れに出来れば上等でしかない。幸い奴等は俺にはまだ気づいて――

「――」

 ケルトの戦士団、その進行方向に、難民のように逃げ惑う人々を見つけた。
 おい……と呟く。まさか、と。
 俺に気づいていないのは、それ以外に獲物がいたから……?
 待て。待て。彼らを殺す気か? 欧米人らしき人間が多数。数は二十七名。中には軍服を着た軍人もいる。しかし脚が折れているのか、松葉杖をついていた。手には施錠式銃……1775年頃に普及したライフルだ。貧弱極まる武器しかない。
 軍人はたったの三名。内一人は脚を、別の軍人は腕を、無傷なのは一人。装備は劣悪、守るべき人間が二十四名。とても戦えない。
 ケルトの戦士達が楯を鳴らして閧の声を上げながら突撃していく。既に逃げる気力もないのか、へたりこむ男女がいる。全てを捨てて逃げ出そうとする者も。軍人達は……せめてもの抵抗か、必死になって叫び、とにかく難民達を逃がそうとしていた。

「……!」

 どうする、どうする、どうする――? 今行けば俺は死ぬぞ。
 死、ぬ……? 死ぬのか、俺は。
 死ぬのは嫌だ、殺されたくない。まともに戦える体力もない。そもそも今の俺は左目が見えていないんだ。それに対応する訓練も積んでいない。どうする? 撤退するべきだ、彼らを見捨てて。だが……それでいいのか……?
 は。決まってるな……そんな真似をしてみろ――命は永らえても、男として死んだも同然だ(・・・・・・・・・・・)

「保ってくれよ、俺の体……! 投影開始(トレース・オン)!」

 灼熱が全身を駆け巡る。呻き声を噛み殺して、なんとか最低限度の武装を投影した。
 狙撃銃、デザートイーグル、弾丸。そしてナイフ。宝具ですらないただの武器。それですら固有結界が暴発してしまいそうだった。剣が皮膚の下でギチギチと鳴る。吼えた。痛みから目を逸らして、精神力だけで魔術行使の失敗による死の狭間に飛び込んで、死に物狂いで回路を制御する。
 雄叫びでケルトの戦士達がこちらに気づく。ああもうだめだ、死んだ、なんて莫迦を仕出かしたんだこの莫迦が、俺の命は俺だけの
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