決着なんだよネロちゃま……!
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、剣を預け命運を預かった。昔は頼りなかったが、それでも真っ直ぐな少年で、今は心身ともに肩を並べるに足る知略と胆力を身に付け、互いに愛し合った。謂わば騎士としての私の主である男。これ以上の説明がいるか?」
「な、な、な――」
ベタ惚れである事を淡々と告げるアルトリアにマシュは複雑そうだった。ムッとして、対抗心を表情に漏らしている。モードレッドは愕然としてしまった。
そして嫉妬する。敬愛し、憎んだ、己の全てと言えるアーサー王が、自分の知らぬ間にそれほどの信頼と親愛を結んだ相手がいる事に。認められたい、愛されたいと心の底で渇望しているモードレッドには、今のアルトリアは余りにも遠く感じられた。顔も知らない男にモードレッドは嫉妬と憎しみを募らせる。だが、不意にネロが言った。
「なあ、何故にセイバーが『父上』なのだ? 普通は母上なのでは……」
「はあ? 父上は父上だろうが!」
「ふぅむ。ではシェロは『母上』になる……?」
「!?」
何気ない独語にモードレッドとアルトリアがぴくりと反応した。唐突にアルトリアが微笑みつつモードレッドの肩に手を置く。
「モードレッド」
優しげな呼び掛けにモードレッドは仰天した。
いきなりの豹変に度肝を抜かれたのだ。
「シロウはとても素晴らしい人だ。貴公もきっと認められる。だから彼と会う事があれば、シロウを『母上』と呼びなさい」
「で、でも父上、オレの母上は……」
「あれを母と認める必要はない。私の言う事が聞けないのか?」
「いえ! 聞けます!」
――父上こえぇぇ!
モードレッドは耳元で囁いてくるアルトリアの冷気に震え上がった。
もとよりアルトリア曰く「あれ」の事は嫌っていた。アルトリアが言うのならモードレッドは従うのも吝かではない。
というより、アルトリアの言う事にはとりあえず反抗してみるモードレッドだが、今のアルトリアに反抗すれば速攻で物理的に斬られる恐怖を確信していたのである。或いは精神的にか。
こんなアーサー王、知りたくなかった。モードレッド、心の嘆き。
ネロは苦笑した。マシュが可愛らしくむくれているのもそうで、シェロは大変だなと。
「よろしい。ならばもし貴公がカルデアに召喚される事があっても歓迎しよう」
「ほんとか!?」
「ええ。……ただし、分かっているな。妙な事をすれば……」
「わわわわわ分かってるよ! 変な事なんかしねえって! だからその変な感じやめてくれよ!」
反抗期息子モードレッドも、愛の戦士アルトリアには形無しだった。全く反逆できない。騎士と王ではなく、家庭的な面でのヒエラルキーが明確に固定されてしまった瞬間だった。
ネロがある程度の休息を得ると、再び一同は走り始める。それから
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