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英雄伝説〜灰の軌跡〜 閃V篇
外伝〜ミルディーヌ・ユーゼリス・ド・カイエン〜前篇
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定している彼はミルディーヌ殿にとって相応しい伴侶かと思われますが…………ミルディーヌ殿もご存じのように彼には既にアルフィン殿下を含めた多くの伴侶が存在している上、アルフィン殿下の件も考えると彼と結ばれればミルディーヌ殿も例外なくアルフィン殿下のように彼の伴侶としては序列の低い伴侶となってしまいますが…………」

「その件につきましては先程も説明しましたように、エレボニア側のカイエン公爵家の当主である私が序列の低い伴侶としてロード=リィンと結ばれるからこそ、”尊き血”を重視した前カイエン公爵―――クロワール叔父様が起こした内戦やそれに付随して勃発した”七日戦役”の件で一般的に見て”血統主義”である我々エレボニア貴族に対して”七日戦役”や内戦の件で思う所があるメンフィル帝国に、”血統主義”であった私達エレボニア帝国貴族は内戦と”七日戦役”の件で今までの行いを反省して変わろうとしている事やメンフィル帝国に対して野心を抱いていない事を知っていただくために、エレボニアの貴族達の中でも絶大な権力を持つ私自らがあえて彼の伴侶としては序列の低い伴侶として結ばれる事でメンフィル帝国に信用して頂けるのですわ。それに私の婿となる事でクロワール叔父様やバラッド大叔父様のようにカイエン公爵家が持つ権限を乱用しようと考える者が出る事を防ぐ措置でもありますから、カイエン公爵家として、エレボニアの貴族全体として、そして私個人としても十分に”利”がある話です。」

「む、むう…………確かに言われてみれば…………」

「そもそも”灰色の騎士”は野心や権力争いといったものとは無縁だったシュバルツァー卿に育てられた訳ですから、父君であられるシュバルツァー卿の理念を受け継ぐ彼も恐らくカイエン公爵家の当主の伴侶として持てる権限にも興味はもっていないと思われますものね…………」

「第一彼は温泉郷であるユミルしか領地をもたなかった領主から一気に広大なクロイツェン州の約8割を統括する事になる領主に内定しているから、カイエン公爵家を含めたエレボニアの権力に関わっているような暇はないだろう。」
ミルディーヌ公女の考えに反論できない諸侯達はそれぞれ納得した様子で考えていた。
「フフ、要はクロスベル帝国でも貴族として存続する為に平民でありながら皇帝へと成りあがったヴァイスハイト陛下に嫁いだユーディお姉様と同じようなものですわ♪―――もしかしたら、キュアさんもそうなるかもしれませんが♪」

「フウ………実際その通りだから反論はできないけど、そこでわざわざ私を例えに出す必要はないでしょう。」

「それとさり気なく縁談すらまだの私まで含めようとしないでよね…………」
小悪魔な笑みを浮かべて答えたミルディーヌ公女の話にその場にいる多くの者達が冷や汗をかいて表情を引き攣らせている中
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