第6章:束の間の期間
閑話16「修行の一風景」
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「防ぐか……!」
「初見じゃない相手の動きだからこそ、だよ」
今回だけでなく、優輝ととこよは何度も模擬戦をしている。
既に同じとは言わないが似たような連続転移は見ていた。
そのため、こうして対処が出来たのだ。
……尤も、とこよならば初見でも防御しきれたかもしてないが。
「くっ……!」
「……!」
優輝は魔力を、とこよは霊力を練る。
その瞬間、周囲が二人を巻き込むように爆発が起きた。
とこよが仕掛けていた御札に、優輝の創造魔法による剣が刺さったのだ。
二人が魔力及び霊力を練ったのは、術式の発動とその牽制のためだった。
「「ッ!!」」
爆発の範囲を抜けるように、二人は飛び退く。
そして、追撃を放とうとして、優輝は転移を、とこよは障壁を張った。
「(……さすがに時間を使ったか)」
直後、二つの砲撃魔法が直撃する。
放ったのはユーリと緋雪だ。
「……避けた方が、無難だったかな」
優輝は転移でも余波が避けきれず、とこよは障壁で防ぎきれずにダメージを食らった。
しかし、戦闘はまだ続行出来る。
「……あーもう、埒が明かないよ!」
緋雪がそう言って、優輝ととこよは苦笑いするように溜息を吐いた。
……中途半端だが、これで模擬戦は終了だ。
「―――終わりだ。悪路王」
「……ふん」
戦闘終了から、“休息のサイン”を出すまで。
その隙を狙い撃つかのように、悪路王が影から優輝を狙った。
だが、その一撃は防がれた。
「あれ?悪路王、鈴さんの所にいたんじゃ?」
「吾は元々現世に留まれる縁の訳を知るためにいただけの事。……その訳を知ってなお、ここに留まり続けたが……そろそろ還るとする。今のは最後に試しただけだ」
そう言って、悪路王は結界の出口へと向かう。
「ま、待って!」
「待たん。吾はこれ以上馴れ合う気はない。……それに、これ以上鍛えた所で吾の強さは打ち止めだ。ではな」
とこよが呼び止めようとしたが、意に介さずに悪路王は去っていった。
妖である以上、強さには上限があった。
悪路王は既にそこに達しており、そのためにこれ以上は意味がないと断じたのだ。
「……悪路王……」
「……むしろ、あの悪路王がここまで付き合ってくれてた事が意外だよ」
「そうなんだけどね……」
休息している間に、紫陽がとこよの傍に来ていた。
とこよは悪路王が去っていった場所を少しの間見つめていた。
「まぁ、あんたが思う事も共感出来る。でも、あの悪路王本人がこれ以上鍛えても無駄だと悟ったんだ。無理強いしても悪化するだけだ」
「……うん」
とこよは何も協力し合わなくなった事
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