暁 〜小説投稿サイト〜
魔法少女リリカルなのは〜無限の可能性〜
第6章:束の間の期間
閑話16「修行の一風景」
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わす。
 防御魔法を付与したのは、ユーリの言う通り魄翼だけでは防げないからだ。
 既に優輝は何度かユーリと模擬戦をこなしている。
 お互いに戦闘力が向上したため、こうしてお互いにどこまで攻撃を徹すか理解していた。

「だが、怠ったな」

「え……?」

 優輝の言葉を、ユーリは一瞬理解出来なかった。
 次の瞬間、ユーリに殺気が襲う。

「しまっ……!」

 “怠った”。それは、他の二人への牽制の事。
 緋雪は優輝が足止めした際にユーリの魔力弾に被弾していたが、とこよは違った。
 ユーリが優輝に集中した瞬間、その隙を見逃さなかった。

   ―――“弓技・瞬矢-真髄-”

「防いで!!」

 神速の矢がユーリへと迫る。
 ユーリは咄嗟にもう片方の魄翼で防ぐ。
 優輝と同じようにこちらも防御魔法を付与している。

「やはり、まだ甘い!」

「ッ―――!」

 意識が優輝から逸れる。
 それを優輝は見逃さない。
 即座に頭上に転移し、リヒトを振りかぶった。

「ぉおっ!!」

   ―――“Hacken schlag(ハッケン・シュラーク)

「ぁああっ!?」

 威力を重視した一撃がユーリを襲う。
 魄翼は既に両翼共に防御に使い、今の優輝の一撃を防ぐには間に合わない。
 そのため、咄嗟の防御魔法しか張れなかった。
 それでも三重の防御魔法。一枚一枚が相当な強度を持っている。

「……ッ……!?」

 “あと少し”。そう思った優輝だが、次の瞬間に転移魔法の術式を練った。
 間一髪、転移魔法が間に合う。
 そして、優輝がいた場所をユーリごと砲撃魔法が呑み込んだ。

「うあっ!?」

 転移した直後の優輝に、攻撃を食らった声が聞こえた。
 その方向を見ると、そこにはとこよに蹴り飛ばされた緋雪の姿があった。
 緋雪はユーリの魔力弾に被弾した後、復帰してそのままとこよに攻撃を仕掛けたのだ。
 ユーリを狙った矢を放った直後にとこよは襲われ、攻防を繰り広げていた。
 そして、とこよと優輝達が直線状に並んだ時、緋雪は砲撃魔法を放ったのだ。
 先程の砲撃魔法はそれが飛んできたもので、とこよはその砲撃魔法を躱し、そのまま緋雪に蹴りをお見舞いしたのだ。

「はぁっ!」

「っ!」

 即座に優輝はとこよへ攻撃を仕掛ける。
 猶予はユーリと緋雪が復帰するまでの僅かな時間。
 しかし、優輝ととこよにはそれで十分。

「(死角……後ろ!……いや!)」

 転移魔法で間合いを詰め……即座に二度目の転移魔法を発動。
 とこよはそれすら見切り、後ろに回り込まれたと理解する。
 そして、対応する前に……三度目の転移に反応した。

「(前!)」


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