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ある晴れた日に
128部分:谷に走り山に走りその二十四
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谷に走り山に走りその二十四

「手とか絡め合わせてるしよ」
「じゃれ合ってるどころじゃないだろ、あれは」
「うち等とでもあそこまでねえよな」
「なかったわよ」
 咲は春華の怪訝な声に答える。やはり目は二人から離れない。
「今まで。気が合うにしろ」
「あれはやばいだろ」
「とにかくね」
 そんな周囲の目をよそに江夏先生はまた言ってきた。
「これが終わったらゴールデンウィーク」
「はい」
「それですね」
 皆二人から離れて笑顔で先生の言葉に応える。やはりこの長い休暇は皆にとって楽しみであるのだ。
「何処行く?」
「もう家族と旅行する計画あるの」
 こんなやり取りも聞こえてくる。その中で先生は皆に告げるのだった。
「ゆっくりと楽しみなさい」
「わかってます」
「御言葉のままに」
「ただし」
 だがここで釘を刺すのはやはり教師の務めであった。
「ハメを外し過ぎないようにね」
「ちぇっ、やっぱりそれですか」
「わかってますよ」
 今度のわかってます、の言葉には苦笑いがあった。先程の純粋な喜びは消えてしまっていた。この辺り実に素直なクラスである。
「まあそれはね」
「気をつけますから」
「それと六月の最初に中間テストよ」
 先生はさらに言ってきた。
「まだ先だけれど。覚えておいてね」
「野本、ちゃんとやれよ」
「御前赤点は三つまでにしておけよ」
「おい、またここで俺かよ」
 皆に言われて声をあげる野本であった。
「何かよ。こうした話になったらいつも俺だな」
「追試は受けないようにね」
 そして江夏先生も彼に言うのを忘れなかった。
「いいわね、私の教科はね」
「わかってますよ」
 なお江夏先生は英語の先生で田淵先生は国語である。どちらも文系というわけだ。
「それじゃあ一応勉強も・・・・・・って」
 またここで身体中を掻き毟りだしてしまった。
「痒い!また来やがった!」
「自分で言ってどうするんだよ御前は」
「ったくよお」
 坪本と佐々がそんな彼を見て呆れた声を出す。
「しかしブロックワードになってるって」
「どんな奴なんだよ」
「仕方ねえだろ、体質なんだよ」
 まだ身体を掻きながら言う野本だった。
「この言葉を聞いたらよ」
「まあ頑張れ」
「おっ」
 佐々がここで声をあげた。バスが動きだしたのである。
「いよいよだな。これで終わりだよ」
「ああ、全くだぜ」
「何かあっという間だったわね」
 皆キャンプのこれまでのことを思い出しながら言う。
「終わってみればね」
「そうだな。それじゃあよ」
「ああ」
 正道が皆の言葉に応える。もうその手にはギターがある。
「宜しく頼むな」
「ああ、わかったぜ」
 皆の言葉に応えてギターを奏ではじめる正道だっ
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