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ある晴れた日に
127部分:谷に走り山に走りその二十三
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谷に走り山に走りその二十三

「実際はね」
「そう?」
「だって。人間いつも明るいとは限らないじゃない」
「ええ、まあそれは」
 これについては頷くしかなかった明日夢だった。彼女にしても充分以上に心当たりのあることだったからだ。
「中学の時部活で脚怪我した時は本当にそうなるのって思ったし」
「そんなことがあったの」
「今は全然平気だけれどね」
 ジャージを穿いているがその長い脚を明日夢に見せて話す。背が高いのでその分だけ余計に他の女の子よりも目立つ脚である。
「けれどその時はね」
「そうだったの。落ち込んだのね」
「走れないかもって思ったわ」
 自分のその脚を見詰めながら暗い顔を実際に見せていた。
「本当にね」
「けれど今は」
「ええ。大丈夫よ」
 明日夢の方に顔を向けて微笑むのだった。
「その時もやっぱりね。あれだったけれど」
「未晴ね」
「皆もいたし」
 そのいつもの面々である。
「助かったわ。それに今は」
「今は?」
「このクラスあるじゃない」
「このクラス?」
「何か。好きになってきたわ」
 そのアーモンド型の目をこれまで以上に綻ばさせての言葉だった。
「最初は小学校からのメンバーが全員揃っていたからいいって思ってたけれど」
「そういえば私も」
 明日夢も凛のその言葉を聞いて言う。
「恵美や茜と一緒でいいって思っただけだったわ、最初はね」
「あんた二人とずっと一緒だったのよね」
「そうよ。凛達人同じ」
 こう答えるのであった。
「やっぱり。小学校の時からね」
「何か西と東と同じね」
 明日夢の言葉を聞いて笑みを浮かべる凛だった。
「全然違うし変にいがみ合う部分もあったのに」
「中学校の時よく言わなかった?」
 明日夢は凛の今のいがみ合う部分という言葉について言ってきた。
「ほら。東に負けるなとか先生が」
「言ってたわよ、特に競技じゃね」
「勉強でもよね」
 また笑いながら話をする二人だった。
「絶対に西よりいい点取れって言われてたわ」
「それで塾とかで一緒になってね」
「本当に席を西と東で左右に分けてね」
「もう分裂」
 そこまでいくとドイツというよりは朝鮮半島であった。この半島の南北のそれぞれの仲の悪さは最早世界中で知られてしまっている。
「それで今こうして凛と話してるなんてね」
「私も。少年と一緒でね」
 お互い指を合わせている。
「何か信じられないわよね」
「あんなにそれぞれの中学で変にいがみ合う部分もあったのに」
「場所が変われば違ってくるのよ」
 その二人に江夏先生が声をかけてきた。丁度二人の前の席に田淵先生と並んで座っていたのである。そこで前から二人に対して声をかけてきたのである。
「そういうものはね」
「そうなんです
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