暁 〜小説投稿サイト〜
原作とアニメと実写
第四章

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「CGもチャチ」
「十五年前のCGでもあそこまで酷くないぞ」
「撮影も酷かったな」
「やたらカメラ回転させ過ぎだろ」
「背景とかもセンスなかったぜ」
「金かけて製作してたのかよ」
 こうした評価だった、そして作品全体の評価は言うまでもなかった。それでこの実写映画は興行収入も散々で。
 壮も公式の場ではノーコメントだった、ツイッターとブログで実写映画今日上映開始ですと言ったところで後は原作やアニメ、それに単行本やグッズの話とアシスタントや編集者、ファンとの交流を楽しみ喜ぶことばかり書いて言った。
 しかし編集者にはだ、こう言った。
「あの、実写映画は」
「先生としてはですね」
「はい、出来れば」
 それこそと言うのだった。
「二度とです」
「そうですよね、実は私も」
「観てですね」
「原作を馬鹿にするな、でしたよ」
 そうした評価だったというのだ。
「だって私も先生の作品好きですから」
「それで作品に関わってくれてますよね」
「編集者はまず担当するその作品に愛情を持たないと駄目ですから」
 編集者は自分が思う編集者としての職業の在り方も話した。
「ですから」
「それで、ですよね」
「やらないと駄目ですけれど」
「あの映画には」
「そういうのが一切なくて」
「もう何もかもがでしたね」
「酷いにも程度がありました」
 そうした城元だったとだ、編集者も言った。
「実はああした作品になるとは」
「思っておられませんでしたか」
「はい、申し訳ありません」
「いえ、謝る必要はないですよ」
 それはとだ、壮は編集者に述べた。
「編集さんの責任じゃないですから」
「だからですか」
「それはいいです。ですがもう実写化は」
「それはですね」
「もういいです」
 落胆した声で言う壮だった。
「正直アニメの出来が素晴らし過ぎるので」
「そちらで、ですか」
「僕は充分過ぎる程満足しています」
「今度四期やりますので」
「だからですか」
「気を取り直して下さい」
「それじゃあ」
 壮は編集者の言葉に実際に気を取り直した、そうして実写映画のことは忘れてそのうえでだった。アニメの四期が決定したことを励みにして打ち合わせから仕事に戻った、単行本の話もあり彼は順調に仕事に励むことが出来た。


原作とアニメと実写   完


                  2018・10・7
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