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翠碧色の虹
第四十四幕:虹よりも七色の虹へ
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が速いです☆」
時崎「そうなんだ。七夏ちゃん、俺は大丈夫だから、海の中を楽しんで!」
七夏「ありがとうです☆ 柚樹さんからあまり離れないようにします♪」
時崎「あ、ああ!」

しばらく、潜行と浮上を繰り返す七夏ちゃんを眺める。海の水は透明度が高いから、七夏ちゃんを見失う事はないけど、さっきみたいに突然潜られ、さらに海の光が重なると見失うかも知れないから、気を付けなければならないな。

七夏「柚樹さん☆」
時崎「え!?」
七夏「くすっ☆」

呼ばれたと思ったら、再び七夏ちゃんの姿が消える。

七夏「柚樹さん☆」
時崎「え!?」
七夏「これ☆」
時崎「あ、綺麗な貝殻だね!」
七夏「はい☆」

太陽の光を受けて輝く貝殻・・・俺には虹色に見えるけど、七夏ちゃんには・・・いや、七夏ちゃんにも虹色だ!

七夏「どしたの?」
時崎「いや、なんでもない!」
七夏「柚樹さん☆ どうぞです☆」
時崎「え!? 貰っていいの?」
七夏「はい☆ 柚樹さん、好きですから☆」
時崎「え!?」
七夏「虹色☆」
時崎「・・・ありがとう!」
七夏「くすっ☆」

頭では分かってはいたけど、心はまだ慣れていないらしい。でも、この感覚は何度でも味わいたい。虹色の貝殻を受け取ると、七夏ちゃんは再び海の中へ・・・虹よりも眩しく輝いているように見えるのはきっと・・・このままずっと楽しみたい。
海の中を楽しそうに泳ぐ七夏ちゃんを見ている。いつの間にかブイのように浮かんでいた写真機の防水カバーを手繰り寄せる。

七夏「柚樹さん☆」
時崎「どうしたの?」

七夏ちゃんが水中眼鏡を外して手渡してくれる。

七夏「七夏は沢山楽しめましたから、柚樹さんも海の中を見て☆」
時崎「ありがとう!」

七夏ちゃんから水中眼鏡を借り、海の中を見る。碧く澄んだ海の世界はとても綺麗で、七夏ちゃんが夢中になるのもよく分かる。俺は七夏ちゃんのように泳がなかったけど、しばらく海の世界を堪能する。海の中を泳ぐ七夏ちゃんが視界に入ってきた。とても優雅で綺麗に見えるけど「ふたつの虹」は隠れて見えない。それも見えれば、もっと魅力的なのだろうけど、見えなくても俺は知っている。そんな事を考えながら自然と七夏ちゃんを追いかけてしまった。

七夏「柚樹さん☆ あっ!」
時崎「あ、ごめんっ!」
七夏「・・・・・」

七夏ちゃんは、少し恥ずかしそうだけど、嬉しそうにも見えた。

時崎「とっても綺麗だったよ!」
七夏「えっと・・・」
時崎「海の世界!」
七夏「あっ! くすっ☆」
時崎「七夏ちゃんも!」
七夏「・・・あ、ありがとです☆」

七夏ちゃんに水中眼鏡を渡そうとする手の指が、ふやけてしわしわになっていた。

時崎「七夏ちゃん、まだ泳ぐ?
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